はじめに
厚生労働省の統計によると、肺がんは日本でのがん死亡数のトップで、男性の死因の第一位、女性では第二位となっている。いつの間にか知らないうちに、肺がんが日本人の死因の上位にランクされていることに、率直に驚いてしまった。
肺がんは、生活習慣病の一つとして数えられおり、肺がんの最大の原因は喫煙であることも判明している。喫煙者は、非喫煙者に比べて肺がんを罹患するリスクが高いと言われている。
また、慢性閉塞性肺疾患(COPD)も肺がんのリスクを高める要因となっている。COPDは生活習慣病の一つに数えられているから、肺がんは、結局、生活習慣病に数えられることになる。
肺がんが生活習慣病の一つであるのならば、生活習慣を改善することで予防の光が見えてくる。
肺がんとは
肺がん(lung cancer)は、気管支や肺胞の細胞が何らかの原因でがん化したものである。 進行すると、がん細胞は周りの組織を壊しながら増殖し、血液やリンパ液の流れにのって転移することもある。
肺がんは、血液やリンパ液の流れにのって転移することもある。
転移しやすい場所はリンパ節、反対側の肺、骨、脳、肝臓、副腎である。
小細胞肺がん(SCLC)患者の約80%においては、診断時に転移がみられるという。
肺がんは、組織型によって、非小細胞肺がん(NSCLC)と小細胞肺がん(SCLC)に大別される。非小細胞肺がんは、さらに腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんに分類される。
発生頻度が高いのは非小細胞肺がん(約85%)であり、 中でも多いのが腺がんである。小細胞肺がん(約15%) は、非小細胞肺がんと比べて増殖速度が速く、転移や再発をしやすい (下表参照) 。
肺がんは、世界におけるがん関連死因の第1位である。日本人のがんによる死亡者数の中でも、肺がんはがん死因の第1位である。国内の肺がんの新患者数は、1年間に10万人あたり88.7人であり、毎年7万人以上が肺がんで死亡している。男女別罹患率は、男性は女性の2倍以上と推定されている。
過去数十年間、肺癌患者の予後は不良であり、診断時から5年を超えて生存する患者はわずか15%であった。IV期(転移)の患者は、5年全生存率が1%未満であった。しかしながら,治療の標的となりうる特定の変異が同定されたことによって治療薬が開発され、転帰は改善している。
原因
肺がんは、喫煙との関連が非常に大きいがんであり、 約85%の症例は喫煙と関連する。たばこを吸わない人に比べて、たばこを吸う人が肺がんになるリスクは男性で4.4倍、女性で2.8倍である。また、たばこを吸わない人でも、 受動喫煙 (周囲に流れるたばこの煙を吸うこと)により肺がんになる危険性が高まることが報告されている。禁煙は、肺がんの最も有効な予防法である。
喫煙以外では、大気汚染やアスベストなどへの暴露も重要な要因と考えられている。また、もともと間質性肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの罹患者は、肺がんを発症しやすいことが知られている。
症状
肺がんには、特徴的な症状はない。つまり、「この症状があれば必ず肺がん」という症状がないので、症状がないうちに進行していることがある。咳や痰、痰に血が混じる、発熱、息苦しさ、動悸、胸痛 、体重減少などがあるが、いずれも肺がん以外の呼吸器の疾病にもみられる症状である。 頻度は低いものの喀血もありうるが、多くの患者では何の臨床症状もないまま転移を来す。
肺がんは他のがんに比べて、比較的進行しやすく、ほかの臓器に転移しやすいという特徴がある。症状としては大きく分けて、肺がんが周りに拡がっていくことで出てくる肺・気管支の症状と、転移により侵された臓器(多くは脳、骨、肝臓、副腎など)の障害による症状とに分けられる。
肺・気管支の症状
咳や血の混じった痰、胸の痛み、息苦しさ、発熱などが代表的な症状であるが、がんの生じる場所によっては、しゃがれ声、しゃっくり、顔のむくみや動悸などを認めることもある。
他臓器への転移による症状
転移巣は、最終的には部位によって異なる症状を引き起こす。転移は、脳、骨、 肝臓 、副腎の部位に起こりうる。
転移巣 | 症状 |
---|---|
脳 | 頭痛、 行動変化、錯乱、失語、痙攣発作、不全麻痺または麻痺、悪心および嘔吐、ならびに最終的に昏睡および死を引き起こす。 |
骨 | 重度の疼痛と病的骨折を引き起こす。 |
肝臓 | 疼痛、悪心、早期満腹感および最終的に肝機能不全を引き起こす。 |
副腎 | まれに副腎機能不全を引き起こす。 |
検査・診断
肺がんが疑われるときは、まず胸部X線検査や胸部CT検査などを行い、病変の有無や場所を調べる。喀痰細胞診などを組み合わせて調べることもある。これらの検査で異常が見つかった場合には、肺がんが疑われる部位から細胞や組織を採取して病理検査を行い、がんかどうか、がんの場合はどのような種類のがんかについての診断を確定する。
肺がんでは組織型などによって治療方法が異なるので、治療開始前に病理検査を行う。治療方法を決める際には、がんの病期(ステージ)も知る必要がある。肺がんの診断が確定したら、病期を診断するために画像検査を行う。
画像検査
画像によってがんの広がりや性質を調べる検査である。体への負担が比較的少ない検査で、検査ごとに特徴があり、目的に応じて使い分ける。
胸部X線検査 |
胸部全体にX線を照射して撮影し、肺にがんを疑う影がないか調べる。簡便で広く普及した検査で、がん検診でも用いられている。 |
胸部CT検査 |
胸の断面像を連続的に撮影する検査で、肺にがんがないか調べる画像診断法としては現時点でもっとも有力な方法である。 胸部X線検査では分からないがんの正確な部位、大きさ、周囲臓器への拡がりやリンパ節への転移の有無などを調べる。この検査で良性か悪性の疑いがあるか判断ができない場合は、より高精度な高分解能CT検査や造影剤を使ったCT検査を行う。造影CT検査は病期の診断にも用いられる。 |
腹部CT検査 |
肝臓や副腎など腹部の臓器への転移の有無を調べる。 |
PET/CT検査 |
がん細胞の代謝の特徴からがんを検出するPET検査と、組織のかたちの異常からがんを検出するCT検査を同時に行う検査である。2つの検査の画像を重ねることで、高い精度でがん細胞の有無や位置を診断することができる。肺がんが転移した場所や進行の程度を調べるのに特に有効な検査である。特に、縦隔リンパ節や他の臓器への転移の有無を調べるのに適している。 |
頭部MRI検査 |
磁気を使って、頭部への転移の有無を調べるための検査。 |
骨シンチグラフィ |
放射性物質(18F-FDG)を静脈から注射し、骨への転移の有無を調べる検査。骨にがんがあると、その部分に放射性物質が集まることを利用した検査である。 |
病理検査・病理診断
がんの有無、がんの種類についての診断を確定するために、がんが疑われる部位から細胞や組織を採取して顕微鏡で詳しく調べる検査である。細胞や組織の採取法には、手術中に採取する以外に、喀痰細胞診、気管支鏡下検査、経皮的針生検などがある。体に負担の少ない検査から順に実施を検討していく。
喀痰細胞診 |
痰の中に出てきたがん細胞の有無を調べる検査。胸部X線検査で見つけることが難しい肺門部のがんを検出できる可能性があり、X線検査と併用することがある。1回だけの検査ではがん細胞を発見しにくいため、数日分の痰を採取して検査する。 |
気管支鏡下検査・生検 |
直径5mmほどの細いしなやかな内視鏡を、鼻や口から挿入して気管支の中を観察し、がんが疑われる部位の細胞や組織を採取する。のどや気管の痛みを軽減する処置をしてから行う。がんが疑われる部位が小さい場合や、がんが疑われる箇所まで気管支鏡が届かない場合などには検査ができないことがある。 |
経皮的針生検 |
がんが疑われる箇所まで気管支鏡が届かない場合や、気管支鏡下検査で診断がつかない場合などに行う。局所麻酔をし、肋骨の間から細い針を刺して、X線・超音波(エコー)・CTなどで位置を確認しながら肺の細胞や組織を採取する。気胸などの合併症を起こす可能性が高く、体の状態をみながら検査ができるかを検討する。 |
胸腔鏡下検査・胸膜生検 |
胸を小さく切開して、内視鏡を肋骨の間から胸腔内に挿入し、肺や胸膜、リンパ節の組織を採取して調べる検査。従来は全身麻酔をした状態で行ってきたが、近年では局所麻酔のみで行うこともある。 |
バイオマーカー検査
バイオマーカーでがんの性質を事前に調べ、効果を予測して治療の方針をたてることもできる。がん遺伝子検査、PD-L1検査、腫瘍マーカー検査などがある。
がん遺伝子検査 |
がん細胞の発生や増殖に関わるがん遺伝子に変異があるかを調べる検査。肺がんでは、EGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子、ROS1融合遺伝子、BRAF遺伝子について調べる。変異のあるがん遺伝子によって、使用する薬剤を検討する。 |
PD-L1検査(PD-L1免疫組織化学染色検査) |
がん細胞の表面にPD-L1というタンパク質があるかを調べる検査。細胞表面にこのタンパク質(PD-L1)をもつがん細胞の割合によって、使用する薬剤を検討する。 |
腫瘍マーカー検査 |
血液検査で測定する。この検査だけでがんの有無を確定できるものではなく、がんがあっても腫瘍マーカーの値が上昇しないこともあるし、逆にがんがなくても上昇することもある。非小細胞肺がんの腫瘍マーカーとしては、CYFRA21-1、CEA、SLX、CA125、SCC、小細胞肺がんの腫瘍マーカーとしては、NSEとProGRPがよく使われている。しかし、いずれも補助的な役割であり、経過観察中に調べることもある。 |
治療
治療方針を決める際には、組織型やがんの進行の程度、体の状態、年齢、合併症などを考慮する。がんの進行の程度は、病期(ステージ)として分類する。肺がんでは早期から進行につれてⅠ期〜Ⅳ期に分類する (表4参照) 。
病期(ステージ)
肺がんの病期は、次のTNMの3種の分類(TNM分類)の組み合わせで決まる。
T:原発巣のがんの大きさや広がりの程度(表2参照)
N:所属リンパ節(胸腔内や鎖骨の上あたりのリンパ節)への転移の有無(表3参照)
M:遠隔転移の有無(表3参照)
小細胞肺がんの治療法を選択する際には、上記の病期分類と併せて、限局型と進展型による分類(表4参照)も使用している。
肺がんの治療の選択
肺がんの治療法は、組織型や病期ごとの標準治療に基づいて、体の状態や年齢、本人の希望なども考慮しながら決める。複数の治療法を併用することもある。
非小細胞肺がんの治療
比較的早期の非小細胞肺がん(Non-small cell lung cancer; NSCLC)の治療の中心は手術であり、現時点においては治癒をもたらす可能性が最も高い治療法である。
再発予防のため手術後に薬物療法を行うこともある。また、体の状態、年齢、合併する他の病気などの影響で手術が難しい場合には、放射線治療を行う。
がんが手術では完全に取りきることができない程度に進行している場合にも、放射線治療を行う。この場合、体の状態がよければ、放射線治療と薬物療法を同時に行うこともある(化学放射線療法)。さらに進行した状態では、薬物療法が治療の中心になる。(図1参照)
小細胞肺がんの治療
小細胞肺がん(Small cell lung cancer; SCLC)の治療の中心は薬物療法である。ごく早期の場合は手術を行うこともある。限局型の場合には、体の状態によって放射線治療を併用することもある。(図2参照)
手術(外科治療) |
手術は、Ⅰ期、Ⅱ期の非小細胞肺がんとⅠ期、ⅡA期の小細胞肺がんが対象で、手術によってがんを取りきることができる場合に行う。手術ができるかどうかについては、手術前の体の状態を総合的に評価して判断する。手術後の順調な回復のためにも、手術前には1カ月以上の禁煙をする。手術の方法としては、近年では、胸腔鏡を挿入し、モニターの画像を補助的に使う開胸手術や、モニターの画像だけを見ながら行う手術が広く行われている。 |
放射線治療 |
放射線治療は、高いエネルギーを持つ放射線を照射してがん細胞を破壊し、がんを消滅させたり小さくしたりする治療法である。がんの治癒や進行の抑制、がんによる身体症状の緩和や延命などを目的として行う。体の状態がよく、細胞障害性抗がん薬を使用できる場合には、放射線治療と同時に使用することがある(化学放射線療法)。 化学放射線療法では、放射線治療と細胞障害性抗がん薬を同じ時期に併用した方が、時期を分けて連続的に行うよりも効果が高いとされているが、急性の副作用が出る可能性も高くなる。 |
薬物療法 |
薬剤を点滴または内服で体内に取り入れ、がんの増殖を抑えたり成長を遅らせたりする治療であり、体内に入った薬は全身をめぐるので、肺以外の臓器に転移している場合にも効果を期待できる(全身療法)。手術や放射線治療のような局所療法と組み合わせて、治療後の再発や転移を予防することもある。肺がんは転移しやすいがんなので、薬物療法はとても有効な治療法である。治療の効果は、X線検査やCT検査、気管支鏡下検査、腫瘍マーカー検査などで判定する。副作用などの理由で一次治療を中止した場合や、一次治療の効果がなくなった場合でも、体の状態が良好であれば、二次治療、三次治療が行われる。その場合、前の治療ですでに使ったものとは異なる薬や組み合わせを使用する。肺がんの薬物療法で使用する薬には、細胞障害性抗がん薬、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬がある。どの薬を使用するかは、肺がんの組織分類や病期、体の状態などによって異なる。肺がん治療に使用する分子標的薬には、チロシンキナーゼ阻害薬や血管新生阻害薬がある。 |
免疫療法 |
免疫療法は、免疫の力を利用してがんを攻撃する治療法。2020年1月現在、肺がんの治療に効果があると証明されているのは、免疫チェックポイント阻害薬を使用する治療法のみ。 |
緩和ケア/支持療法 |
緩和ケアとは、がんと診断されたときから患者のQOLを維持するために、がんに伴う体と心のさまざまな苦痛に対する症状を和らげ、自分らしく過ごせるようにする治療法である。がんが進行してからだけではなく、がんと診断されたときから必要に応じて行われ、希望に応じて幅広い対応をする。支持療法とは、がんそのものによる症状やがん治療に伴う副作用・合併症・後遺症による症状を軽くするための予防、治療およびケアのことを指す。 |
リハビリテーション |
リハビリテーションは、がんとその治療による合併症や副作用などによる身体的・心理的な障害の緩和や、能力の回復・維持を目的に行われる。肺の手術を行うと、手術前と比べて肺活量が著しく低下したり、痛みのため痰を出しにくくなったりして、肺炎や無気肺などの合併症につながることがある。このような合併症を避けるため、手術の前後に呼吸訓練を行う。手術後の呼吸訓練を正しく行い、回復の効率をよくするためには、手術前の比較的余裕のある時期にしっかりと呼吸の訓練をしておくことが大切である。胸部や手足の筋肉のストレッチや、息切れが強くならない程度のウォーキングなどの運動も有効である。手術後には、呼吸訓練と併せて、肺の一部分だけを圧迫しないように心がける。長時間同じ姿勢で寝たきりにならないように体の向きを変えたり、無理のない程度に体を動かしたりする。早期回復のためには、退院後もリハビリテーションを引き続き粘り強く続けていくことが大切である。 |
薬物療法に用いる治療薬
EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFRの感受性変異を有する肺がん) |
ゲフィチニブ (イレッサ®) エルロチニブ(タルセバ®) アファチニブ (ジオトリフ®) オシメルチニブ(タグリッソ®) ブリグチニブ(アルンブリグ®) |
ALKチロシンキナーゼ阻害薬(EML4-ALK染色体転座を伴う肺がん) |
アレクチニブ(アレセンサ®) セリチニブ(ジカディア®) クリゾチニブ (ザーコリ®) |
BRAF阻害薬(BRAF変異を有する肺がん) |
ダブラフェニブ (タフィンラー®) |
MEK阻害薬 |
トラメチニブ (メキニスト®) |
血管内皮増殖因子に対する抗体医薬 |
ベバシズマブ(アバスチン®) ラムシルマブ(サイラムザ®) |
免疫チェックポイント阻害薬 |
ニボルマブ(オプジーボ®) ペンブロリズマブ (キイトルーダ®) アテゾリズマブ (テセントリク®) デュルバルマブ(イミフィンジ® ) |
抗悪性腫瘍剤(抗がん剤) |
エトポシド (ラステット® 、ベプシド®) |
プラチナ製剤 (抗悪性腫瘍剤) |
シスプラチン カルボプラチン(パラプラチン®) |
トポイソメラーゼ阻害薬 (抗悪性腫瘍剤) |
イリノテカン(トポテシン®) ノギテカン(ハイカムチン®) |
ビンカアルカロイド系 (抗悪性腫瘍剤) |
ビンブラスチン (エクザール®) ビンクリスチン(オンコビン®) ビノレルビン(ナベルビン®) |
アルキル化系 (抗悪性腫瘍剤) |
シクロホスファミド(エンドキサン®) イホスファミド(イホマイド®) |
アントラサイクリン系抗腫瘍性抗生物質 |
ドキソルビシン(アドリアシン®、ドキシル®) |
タキサン系 (抗悪性腫瘍剤) |
ドセタキセル(タキソテール®) パクリタキセル(タキソール®) パクリタキセルにアブルミンを結合させたもの(アブラキサン®) |
含フッ素ヌクレオシド (抗悪性腫瘍剤) |
ゲムシタビン(ジェムザール®) |
予防
下記のような点に気をつけることが、肺がんを予防するため必要とされている。
- 禁煙
- 受動喫煙を避ける
- 健康的な生活習慣を維持する
- 定期的な健康診断を受ける
喫煙は肺がんの最大のリスク因子であることが判明している。喫煙者は非喫煙者に比べて肺がんになるリスクが高い。禁煙を始めてから10年後には、禁煙しなかった場合と比べて肺がんのリスクを約半分に減らせることが分かっているらしい。
受動喫煙を避けること、つまり他人のタバコの煙(受動喫煙)を吸うことも避けたい。受動喫煙も肺がんのリスクを高めることが知られている。したがって、たばこを吸わない人は、喫煙者のタバコの煙を避けることが大切である。
健康的な生活習慣を維持することは生活習慣病の予防対策であるが、肺がんの予防にも禁煙以外に節度のある飲酒、バランスの良い食事、身体活動、適正な体形の維持、感染予防などが有効であることが分かっているらしい。
定期的な健康診断を受けることによって、肺がんの早期発見が期待できる。40歳以上の人は1年に1回、肺がん検診を受けることが推奨されている。検診の内容は、問診、胸部X線検査と喀煰細胞診である。尚、喀煰細胞診は50歳以上で、喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が600以上の人が対象とされる。
あとがき
肺がんの治癒率は、がんの種類と進行度(ステージ)によって異なる。最近の肺がん治療の発展は目覚ましく、特に非小細胞肺がん(NSCLC)の場合は手術と薬物療法によって5年生存率が急激に向上してきている。一方で、小細胞肺がん(SCLC)の場合は12%未満であり、決して高い治癒率とは言えない。むしろ難治がんの類である。
- 非小細胞肺がんの5年生存率は、47.7%
- 小細胞肺がんの5年生存率は、11.6%
一方、ステージごとにおける5年生存率をみた場合、やはり早期で発見された場合の治癒率は高い。ステージ4になるとかなりヤバいと言わざるを得ない。
- ステージ1: 5年生存率は81.6%
- ステージ2: 5年生存率は46.7%
- ステージ3: 5年生存率は22.6%
- ステージ4: 5年生存率は5.2%
勿論、これらの数値は一般的なものであり、個々の患者の状態によって治癒率は異なる。しかしながら、肺がんにはならないでおいた方がよい。生活習慣の改善で予防できるなら、それに越したことはない。万一、肺がんに罹患しても早期なら治癒できる可能性は比較的高い。定期的な健康診断で早期発見にも努めたい。
【参考資料】
国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターHP |
KOMPAS 慶応義塾大学病院 医療・健康情報サイト |
MSDマニュアル 家庭版・プロフェッショナル版 |
肺がん 予防・検診:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ] (ganjoho.jp) |
肺がんを予防するには? | 肺がんの検査と予防| 肺がんとともに生きる (haigan-tomoni.jp) |
肺がんのステージ | 国立がん研究センター 中央病院 (ncc.go.jp) |