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脳血管疾患とは?原因と症状は?治療法と予防策は?

はじめに

私の祖父は、私がまだ小学校低学年であった頃に脳出血で他界した。二月の寒い夜中だったように思う。そして、私の父は、私が高校3年生で大学受験の準備をしていた秋にくも膜下出血が原因で突然にこの世を去ってしまった。だから私のなかでは脳血管疾患は死に直結する怖い病気であるイメージが強い。

実際、脳血管疾患は、突然死の原因となり得る恐ろしい疾病の一つに数えられている。たとえ、手術などの治療によって救命できた場合でも後遺症が残るリスクが高いと言われている。

高血圧は、脳血管疾患の最大の危険因子と言われている。祖父も父も高血圧であったのかも知れない。今となっては、確かめることもできないが、発症した季節が、寒い冬であったり、季節の変わり目で気温の変化が多い秋であることから、血圧の急変化(上昇)が原因であった可能性が高いと考えられる。

高血圧には「遺伝的要因」も含まれているので、私も体質的には高血圧になりやすく、脳血管疾患のリスクが高いと言える。そのリスクを少しでも低下させるためには生活習慣に気をつけながら血圧管理を行い、継続的な高血圧にならないよう心がけるようにしている。また強いストレスを受けないよう気をつけたいと思うが、こればかりは運次第かも知れない。

目次
はじめに
脳血管疾患とは
脳梗塞
脳出血
くも膜下出血
原因
症状
検査・診断
治療
予防
あとがき

脳血管疾患とは

脳血管疾患とは、脳の血管のトラブルによって脳細胞が障害を受ける病気の総称である。

脳血管疾患は、脳の血管の詰まりや破裂によって突然起こる疾患である。一般には「脳卒中」と呼ばれることがある。

脳血管疾患は、厳密には、血管が詰まることで血液の流れが悪くなり起こる「脳梗塞」と、血管が破れて起こる「脳出血」と「くも膜下出血」に分類される。


脳梗塞

脳梗塞は、脳に酸素や栄養を送っている動脈に血行不良が生じることにより、神経細胞が死滅してさまざまな症状をきたす疾病である。脳梗塞は、夜間や起床時などに発症することが多く、筋肉の麻痺などが起きやすく、再発率が高いのが特徴である。

脳梗塞は、次の三つに分類される。

  • ラクナ梗塞:脳の細い動脈が梗塞する
  • アテローム血栓性脳梗塞:比較的太い動脈が血栓で梗塞する
  • 心原性脳塞栓症:心臓からの血栓(血のかたまり)が脳の血管を梗塞させる

以前は日本では欧米に比べてラクナ梗塞の割合が多い傾向があったが、最近はその割合に変化が生じている。脂質異常症糖尿病の増加にともない、アテローム血栓性梗塞が増えている。

また、高齢化にともない心房細動の患者が増加しているため、心原性脳塞栓も増えている。


脳出血

脳出血は、脳の中を走る細い動脈が突然破れて出血が起こり、脳を壊したり圧迫したりすることでさまざまな症状が現れる疾病である。脳出血は、入浴時や排便時、興奮した時など血圧の上昇をきっかけとして起きやすいのが特徴である。

どのような症状が現れるかは、出血の量と場所によって大きく異なるが、最悪の場合には意識障害や呼吸不全を引き起こし、命を落とす危険性もある。出血が起こる場所は大きく分けて、被殻出血、視床出血、脳幹(橋)出血、小脳出血、そして皮質下出血があり、発症してからの治療方針がそれぞれ異なる。


くも膜下出血

くも膜下出血は、脳を覆う三層の膜(外側から硬膜・くも膜・軟膜)のうちの「くも膜下腔(くも膜と軟膜の隙間)」内で出血が起こる疾病であり、命の危険が非常に高い疾患である。激しい頭痛が突然起こるのが特徴であるが、あまり痛まないこともある。

発症原因にはいろいろあるが、多くはくも膜下腔を走行する動脈の分岐部に動脈瘤が形成され、それが破裂することによって発症する。40歳以降から発症者が増え始めるといわれている。

また、動脈瘤以外にも頭部外傷や先天的な血管の形態異常などが原因で引き起こされることも少なくない。

発症すると、意識のある場合は突然バットで殴られたような激烈な頭痛や吐き気・嘔吐を生じることが特徴である。また、出血量が多い場合は脳が圧迫されることで意識を失うことも多く、突然死の原因となり得る。さらに、手術などの治療によって救命できた場合でも後遺症が残るリスクが高く、非常に恐ろしい疾病の一つに数えられている。


原因

脳血管疾患の原因としては、高血圧動脈硬化、喫煙が最大の危険因子とされている。

その他にも、運動不足や多量の飲酒、ストレス睡眠不足などの生活習慣が脳血管疾患の引き金となることがある。

また、下記のような疾患によっても脳血管疾患は引き起こされる場合があるという。

  • 脳動静脈奇形
  • 海綿状血管腫
  • アミロイドアンギオパチー
  • 脳腫瘍

脳動静脈奇形は、脳の血管の形成が異常で、血管が破れやすくなる状態を指す。

海綿状血管腫は、脳の血管が海綿状に広がり、血管が破れやすくなる状態を指す。

アミロイドアンギオパチーは、脳の血管壁にアミロイドというたんぱく質が蓄積し、血管が破れやすくなる状態を指す。

脳腫瘍は、脳腫瘍の存在により、周囲の血管に圧力がかかるために、血管が破れるリスクが高い。


症状

脳血管疾患の症状は、血管の詰まりや破裂が脳のどの部分で起きたかよって、それぞれ症状の出方が、大きく異なる。

一般的な症状としては、片側の顔、手、足の麻痺、言葉の障害、意識障害、頭痛、嘔吐などが知られている。

もし、次のような症状があらわれたら脳血管障害を疑って、直ちに、医療機関を受診する必要がある。

  • 片方の手足・顔半分の麻痺やしびれ
  • ろれつが回らない
  • 言葉が出ない
  • 他人の言うことが理解できない
  • 立てない
  • 歩けない
  • 片方の目が見えない
  • 物が二つに見える
  • 視野の半分が見えなくなる
  • 激しい頭痛が起こる

検査・診断

脳血管疾患の診断と評価には脳の画像検査が有効とされている。主な画像検査には、次のようなものがある。

  • 脳の磁気共鳴画像法(MRI)
  • 磁気共鳴血管造影図(MRA)
  • コンピュータ断層撮影(CT)
  • 血管造影灌流画像
  • 脳血管造影

治療

脳血管疾患の治療方法は、病態により異なる。

脳梗塞の場合には、症状が出てから4.5時間以内であれば、血栓溶解療法という治療法がある。ただし、慎重に適応判断された患者に限るとされる。

脳出血の場合には、出血が助長されないように、すぐに血圧を下げる降圧薬を投与する(内科的治療)。出血が起こると次第にその周囲の脳がむくんでくるため、その場合にはむくみをとる抗浮腫剤の投与を行う(内科的治療)。そして、出血の部位や意識レベル、脳ヘルニアになりそうな状態によって判断が分かれるが、脳ヘルニアになりそうな状態がある場合には血腫を取り除く手術(外科的治療)を行う。症状が落ち着いた後にはリハビリテーションによって後遺症の改善を図る。これが、一般的な脳出血の場合の治療法とされる。

くも膜下出血の場合には、まず可能な範囲で血圧を上げ、十分な点滴の量で血流を保つ(血圧管理)。そして脳動脈瘤が疑われたら出血源の処置を行い、再出血を防止する(手術)。開頭手術によるクリッピング術や脳血管内治療(コイル塞栓術)が選択されるという。


予防

脳血管疾患の予防には、健康的な生活習慣の維持が重要である。適度な運動、禁煙、飲酒の節制、健康的な食事などが生活習慣の改善が効果的であるとされる。

また、定期的な健康診断も重要であるかも知れない。


あとがき

脳血管疾患は、突然死に直結する恐ろしい疾病である。たとえ、手術などの治療によって救命できた場合でも後遺症が残るリスクが高い。したがって、脳血管疾患にならないよう予防に徹することが最重要であると考える。祖父と父の生命を突然に奪った脳血管疾患にだけはなりたくないという思いが私には強い。


【参考情報】

急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)(日本循環器学会 / 日本心不全学会合同ガイドライン)
不整脈非薬物治療ガイドライン(2018 年改訂版)(日本循環器学会 /日本不整脈心電学会合同ガイドライン)
2020年改訂版 大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(日本マルフィン協会)
Medical Notes HP

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