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循環器系疾患 疾病

動脈瘤とは?原因は?症状は?検査・診断と治療の方法?予防は?

はじめに


<目次>
はじめに
動脈瘤とは
原因
症状
検査・診断
治療
予防
あとがき

動脈瘤とは

動脈瘤は、動脈の一部の壁が薄くなり、薄くなったところがこぶのように膨らんだ状態をいう。

こぶの壁は薄いため、圧が掛かると破裂して血液が漏れ出し、それ以降の臓器に送られる血液が少なくなる。全身のどの血管にもできる可能性があるが、脳・心臓などの重要な臓器や大動脈にできた動脈瘤が破れた場合には、大出血を引き起こし、死に至る危険性が高くなる。


原因

動脈瘤の形成には、血管が固くなる動脈硬化やけが、血管炎で血管が傷つくことなどが関係していると考えられている。

血圧が高いと血管の壁に掛かる圧力が大きくなり、血管が脆くなると、高い圧力に対応することができなくなって徐々に血管が広がり、やがて動脈瘤が形成されるようになる。そのため、動脈瘤は血管の枝分かれ部分や物理的に力が掛かる部位にできやすいといわれている。

動脈瘤の原因は、血管の壁が何らかの原因によって傷つくことで起きるとも言われており、血管自体が固くなる動脈硬化が原因の大半を占めているようだ。


症状

動脈瘤だからといって必ず症状があるわけではなく、何も症状が現れないことも少なくない。しかし、動脈瘤のできる位置や大きさによっては、さまざまな症状が現れることもある。

脳の血管にできる脳動脈瘤は目を動かす神経(動眼神経)の近くにできるため、大きくなると神経を圧迫するようになる。その影響で眼球の動きが制限されるため目の位置がずれ、物が二つに見えたり、まぶたが垂れて瞳が大きく開いたままになったりする場合もある。

また、脳動脈瘤が破裂して出血した場合にはくも膜下出血となり、頭痛・意識障害などを引き起こす。

胸部や腹部の大動脈という太い血管に大動脈瘤ができると、鈍い痛みを感じる場合もあるが、無症状のことも少なくない。破裂すると強い痛みと共に大量の血液が体内に噴き出し、それ以降の血流がなくなるため、ショック状態になって意識を失い、死に至ることもある。

大動脈解離の場合、血管構造が裂けることで大動脈瘤が発生することから、突然、胸や背中、または腹部や腰部に激しい痛みが現れる。

また、目の奥にある網膜に網膜細動脈瘤ができて破裂すると、眼球内部のスペースに血液が舞い飛ぶため、目の前を虫が飛んでいるように見えること(飛蚊症)がある。


検査・診断

動脈瘤の大きさや位置を調べるためにCT検査MRI検査が行われる。

また、動脈瘤の有無や血流の程度を調べるために超音波検査や、血管の内部の構造変化を調べるために造影検査が行われる


治療

動脈瘤の治療法は、動脈瘤の大きさ、位置、成長速度、患者の全体的な健康状態などによって異なる。

一般的な治療法には下記のようなものが知られている。

  1. 経過観察
  2. 薬物療法
  3. 手術
    • 開腹手術
    • 内視鏡手術

小さな動脈瘤で、破裂のリスクが低い場合、医師は定期的な検査を推奨し、動脈瘤の成長を監視する(経過観察)ことがある。

高血圧や高コレステロールなど、動脈瘤の成長を促進する可能性のある場合には、その状態を抑制するための薬剤が処方されること(薬物療法)がある。

動脈瘤が大きくなったり、症状が出たり、破裂のリスクが高い場合は、手術が必要になることがある。手術には、開腹手術と内視鏡手術の2つのタイプがある。

開腹手術は、動脈瘤を取り除き、それを人工血管で置き換える手術である。

内視鏡手術は、血管内にステント(支持枠)を挿入し、血流を動脈瘤から健康な血管部分に再ルーティングする手術である。


予防

動脈瘤の予防には、以下のような方法が知られている。

  • 高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病を改善する
  • 喫煙をやめる
  • 過度の飲酒を控える
  • 健康的な食事をとる
  • 定期的に運動する
  • ストレスをコントロールする

あとがき

動脈瘤は、全身のどの血管にもできる可能性があるが、脳や心臓あるいは大動脈にできた動脈瘤が破れた場合には、大出血を引き起こし、死に至る危険性が高くなる恐ろしい病である。

動脈瘤の原因の大半は動脈硬化にあるらしいので、まずは動脈硬化を引き起こさないような食生活を心がけたい。


【参考情報】

急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)(日本循環器学会 / 日本心不全学会合同ガイドライン)
不整脈非薬物治療ガイドライン(2018 年改訂版)(日本循環器学会 /日本不整脈心電学会合同ガイドライン)
2020年改訂版 大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(日本マルフィン協会)
Medical Notes HP