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閉塞性睡眠時無呼吸症候群とは?原因は?症状・診断・治療・予防

はじめに

睡眠時無呼吸症候群Sleep Apnea Syndrome; SAS)は、睡眠中に長い呼吸停止が繰り返し起こって眠りが妨げられる重篤な疾病である。SASには次の3つの種類がある。

  • 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)
  • 中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)
  • 混合型睡眠時無呼吸症候群

私は、いびきをかくことがあり、あまりにもひどい時期(還暦を迎えた頃)にOSAの発症を懸念して医療機関で検査を受けたことがある。幸いにも軽度なものであったので経過観察ということになっているが、いつ悪化するかも知れない。時限爆弾を抱えているようなものである。

しかしながら、その事実が分かっただけでも幸運であったと捉えたい。いびきや睡眠時の無呼吸は自分では分からないものである。寝室が一緒のパートナーによってのみ気付いてもらえるものだからである。

本稿では、SASのなかで最も頻発している閉塞性睡眠時無呼吸症候群OSA)について書きたいと思う。


<目次>
はじめに
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)とは
原因
症状
検査・診断
治療
予防
あとがき

閉塞性睡眠時無呼吸症候群とは

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、睡眠時に呼吸停止を引き起こす部分的または完全な上気道閉塞エピソードから成る。

睡眠時の呼吸停止は、10秒を超える無呼吸または低呼吸と定義される。睡眠中に10秒を超える呼吸の停止が繰り返しみられると、OSAとみなされ、患者は睡眠中、1時間に5~30回の呼吸停止を起こす。

ほとんどの症例は、未診断かつ未治療のままであり、しばしば高血圧、心房細動およびその他の不整脈、心不全、ならびに過度の眠気による自動車およびその他の事故に起因する外傷や死亡に関連する。治療を行えば予後は良好である。

OSAの有病率は、成人で2~9%であると推定されているが、この病態は十分認識されておらず、症状のある患者でさえ未診断であることが多い。OSAは、女性に比べて男性で4倍多く、肥満患者(BMI値:> 30)で7倍多い。重症OSAは中年男性の死亡リスクを上昇させる。

上気道閉塞に対抗する吸気努力により、発作的な吸気、ガス交換の減少、正常な睡眠構築の乱れ、および睡眠からの不完全な又は完全な覚醒を来す。これらの因子が相互作用し、低酸素症、高炭酸ガス血症、睡眠の分断化による合併症をもたらし、死に至ることもある。

OSAは、日中の過度の眠気(覚醒中の眠気)の原因として最多であり、自動車衝突事故、雇用の喪失や性機能障害のリスクを高める。ベッドパートナーおよび同室者/同居者も睡眠困難に陥る可能性があるため、こうした人々との関係にも悪影響を及ぼすことがある。

未治療OSAの長期的な心血管系の続発症には、コントロール不良の高血圧、心不全および心房細動(カテーテルアブレーション後にも生じる)およびその他の不整脈などがある。OSAはNASHのリスクも高めるが、これは夜間の間欠的な低酸素症による可能性が高い。


原因

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、睡眠中にのどや上気道が繰り返しふさがれることで発生する。 症例の25~40%にOSAの家族歴があり、換気ドライブまたは頭蓋顔面構造に影響を与える遺伝因子を反映している。ある家系員のOSAのリスクは、家系の患者数に比例する。

肥満は、OSAおよび肥満低換気症候群の共通の危険因子であるため、この2つの病態は併存することが多い。

OSAに対する解剖学的な危険因子には下記のものがある。解剖学的危険因子は肥満患者によくみられる。

  • 短いか後退した下顎のために混み合っている中咽頭
  • 舌根部および扁桃の肥大
  • 丸い頭部および短い首
  • > 43cm超(17インチ超)の首周囲径
  • 咽頭側壁の肥厚
  • 副咽頭側方の間隙にある脂肪組織

OSAの原因または寄与因子となる疾患には次のようなものがある。

  • 先端巨大症
  • 甲状腺機能低下症
  • 脳卒中

その他の危険因子には,次のようなものがある。

  • 閉経後であること
  • 加齢
  • 飲酒
  • 鎮静剤の服用

小児における閉塞性睡眠時無呼吸症候群

小児の場合は、扁桃やアデノイドの肥大、重度の過蓋咬合などの歯科疾患、肥満、下あごが異常に小さいなどの先天異常などにより、OSAになることがある。

小児では、ほぼすべての患児にいびきがみられる。他の睡眠症状としては、疲れのとれない睡眠や寝汗などがある。夜尿がみられる場合もある。日中にみられる症状には、口呼吸、起床時の頭痛、集中力低下などがある。学習障害や一部の行動障害(多動性、衝動性、攻撃性)は、小児におけるOSAのよくみられる症状である。小児は成長が遅れることもある。日中の過度の眠気は、OSAの成人ほどではない。


肥満低換気症候群

極度の肥満の人は、ピックウィック症候群と呼ばれる肥満低換気症候群になる可能性があり、OSAを併発することもある。過剰な体脂肪は胸の動きを妨げ、それが横隔膜の下にあると肺を圧迫し、その2つの要因が合わさって呼吸が浅く非効率的になる。過剰な体脂肪がのどの周りにあると上気道を圧迫し、空気の流れを妨げる。呼吸の制御が乱れ、中枢性睡眠時無呼吸症候群を引き起こすこともある。


症状

患者は、日中でも強い眠気を催し、睡眠中には大きないびきをかいて、あえぎや息詰まり、呼吸停止などを起こし、荒い鼻息とともに突然目を覚ますことがよくある。

睡眠中の患者の症状に最初に気づくのは、通常、側に寝ている人、ルームメイト、同居人などである。呼吸が異常に遅く浅くなることもあれば、呼吸が突然止まって(ときには最大で1分間)、また再開することもある。

睡眠が妨害されるため、日中の眠気、疲労、易怒性、朝の頭痛、思考力の低下、集中力の低下などが生じることがある。血液中の酸素レベルが著しく低下するため、心房細動が現れ、血圧が上昇することがある。

症状としては、日中の過度の眠気、不穏状態、いびき、反復性覚醒、起床時の頭痛などがある。大きな激しいいびきはOSA患者の85%で報告されているものの、いびきがみられる人のほとんどはOSAではない。 OSA患者は、耳をつんざくようないびきをかく傾向があり、あえぎや息詰まり、呼吸停止などを起こし、荒い鼻息とともに突然目を覚ます。息が詰まって目が覚め、驚く人もいる。

OSA患者の大半は、これらの症状に気づかないが (症状が睡眠中に生じるため) 、ベッドパートナー、同室者、または同居者により知らされる。咽頭痛または口腔乾燥で目が覚める患者もいる。起床時の頭痛は一般的な症状である。

一人暮らしの人では、日中の眠気が最も気づきやすい症状である。最終的には、眠気によって日中の活動が妨げられ、生活の質が低下する。例えば、会議中に居眠りしてしまう場合や、さらに眠気が強いと、運転中に赤信号で止まっているときに眠ってしまう場合さえある。記憶が不確かになる場合や性欲が減退する場合があり、眠気や易怒性のため、積極的に会話に参加できないことから、対人関係が悪化する場合もある。

覚醒しているときには、患者は過度の眠気、疲労、および集中力の低下を感じることがある。睡眠愁訴の頻度および日中の眠気の程度は、イベントまたは睡眠からの覚醒の回数とあまり相関しない。

OSA患者で比較的高頻度に生じる疾患には次のようなものがある。

  • 高血圧
  • 脳卒中
  • 糖尿病
  • 高脂血症
  • 胃食道逆流症
  • 夜間狭心症
  • 心不全
  • 心房細動
  • その他の不整脈

中年の男性で、1時間に約30回を超えるOSAがみられると、若年死のリスクが高まる。


検査・診断

診断は、睡眠歴および睡眠ポリグラフ検査に基づく。危険因子、症状、またはその両方が同定できる場合、OSAが疑われる。診断基準は、日中の症状、夜間の症状、および睡眠モニタリングから成り、睡眠モニタリングでは1時間に5回を超える低呼吸および/または無呼吸エピソードがあり症状を伴うもの、または1時間に15回を超える無呼吸エピソードがあり症状を伴わないものが記録される。尚、症状に関しては、次のうち1つ以上を認めるべきである。

日中の眠気、意図しない睡眠エピソード
休息感の得られない睡眠、疲労、または睡眠の継続困難
息こらえ、喘ぎ、または息詰まりによる覚醒
患者の睡眠中の大きないびき、呼吸の中断、又はその両方をベッドパートナーが報告

いびきのみを報告する患者の大半では、他の症状や心血管系のリスクがなければ、OSAの広範な評価は不要である。

睡眠ポリグラフ検査は、OSAの診断を確定し、OSAの重症度を定量化するのに最適であり、 次のような測定を実施する。

脳波検査で、睡眠の深さ(睡眠構築)、 顎筋電図(筋緊張低下をみる) や急速眼球運動の発生を評価するための眼電図(眼球運動の変化)をモニタリング
オキシメトリーで、指先や耳たぶに電極を取り付け、 酸素飽和度(血液中の酸素レベル)を測定
鼻孔と口の前に取り付けた装置(流量センサー)により気流量を測定
胸に装着したモニター(プレチスモグラフィー)により 呼吸努力 (呼吸の運動とパターン)を測定

睡眠ポリグラフ検査は、睡眠段階、無呼吸および低呼吸の出現ならびに持続時間を記録し、それらの分類に役立つ。また患者をビデオ撮影し、心電図モニタリングを使用して不整脈が無呼吸エピソードに同期して起こるかどうかを判定する。

無呼吸‐低呼吸指数(AHI)は、睡眠中に起きた無呼吸および低呼吸のエピソード総数を睡眠時間で割って得られるもので、睡眠中の呼吸障害を表すのに用いられる一般的な簡易尺度である。AHI値は異なる睡眠段階毎に計算が可能である。

呼吸障害指数(RDI)は類似の尺度で、呼吸努力に関連した特定の覚醒エピソード(呼吸努力関連覚醒またはRERAと呼ばれる)の回数に、睡眠1時間当たりの無呼吸および低呼吸エピソードの回数を加えたものを表す。

覚醒指数(AI)は睡眠1時間当たりの覚醒回数であり、脳波モニタリングを用いれば計算することができる。覚醒指数は無呼吸-低呼吸指数または呼吸障害指数と相関しうるが、無呼吸および酸素飽和度低下エピソードの約20%は覚醒を伴わないか、あるいはその他の覚醒原因が存在する。

OSAの診断にはAHI>5である必要があり、AHI>15中等度の睡眠時無呼吸を、 AHI>30重度の睡眠時無呼吸を示唆する。隣室でも聞こえるほどの大きないびきでは、無呼吸-低呼吸指数 > 5である可能性が10倍増加する。覚醒指数および呼吸障害指数は、患者の症状と中程度にしか相関していない。

OSAの診断には携帯式の診断ツール(自宅での睡眠検査)を使用することが増えてきている。携帯式モニターは、心拍数、パルスオキシメトリー( 血液中の酸素レベル)、呼吸努力、体位、および鼻の気流量を測定できるため、患者の自己申告の睡眠時における呼吸障害を適切に評価でき、それによりAHI/RDIを推測できる。携帯式診断ツールはしばしば、患者のリスクを計算する質問票(例:STOP-Bang,Berlin質問票)とともに用いられる。携帯式ツールを用いる場合、併存する睡眠障害(例:レストレスレッグス症候群)は除外されない。異なる睡眠段階および体位の変更に伴うAHI/RDI値を測定するには、睡眠ポリグラフのフォローアップ検査が引き続き必要となることがあり、手術または陽圧呼吸療法以外の治療が検討されている場合には、これが特に重要である。

原因を特定するために追加の検査が必要になることもある。SASの患者では、高血圧や心房細動などの合併症がないか検査が行われることがある。


治療

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の主な治療法は、下記のような保護具を装着して「狭くなっている気道を広げる」ことを主目的にしている。

  • CPAP【シーパップ】治療
    • マスクを介して鼻から持続的に空気を送る
  • マウスピース
    • マウスピースの装着によって下顎を前方に保持する

治療は、持続陽圧呼吸療法(CPAP)、口腔内装置、および難治例では手術による。

  • 危険因子の管理
  • CPAPまたは口腔内装置
  • デバイスに反応しない解剖学的狭窄または疾患に対して,手術または神経刺激

治療の目的は、低酸素エピソードおよび睡眠分断化エピソードを減少させることである。治療は患者および障害の程度に合わせて調整する。治癒は、症状が解消するとともにAHIが閾値(通常10回/時)以下に低下することと定義される。

治療は危険因子および閉塞性睡眠時無呼吸症候群そのものの両方に対して行う。具体的な閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療法としては、持続陽圧呼吸療法(CPAP)、口腔内装置、気道の外科手術などがある。


危険因子の管理

初期治療は、肥満、飲酒および鎮静薬の使用、甲状腺機能低下症、先端巨大症、並びにその他の慢性疾患など、OSAの是正可能な危険因子の至適管理を目標とする。適度の減量(15%)を行うことで臨床的に有意な改善をみることがあるものの、大半の患者、特に疲労困憊している患者または眠気のある患者にとって減量は極めて困難である。


持続陽圧呼吸療法

経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)は、日中の眠気を自覚するOSA患者の大半に対する第1選択の治療である。眠気のない患者では遵守がより低い。CPAPは上気道で虚脱する可能性のある部位に陽圧をかけることで、上気道の開存性を改善する。効果的な陽圧の範囲は、典型的には3~15cmH2Oである。疾患の重症度は陽圧の必要量と相関しない。多くのCPAP装置が、CPAPの効果をモニタリングし、規定のアルゴリズムに従って圧を自動的に調整する。

臨床的に明らかな改善がみられなければ、CPAPの効果を再検討し、患者に別の睡眠障害(例,上気道閉塞)または合併症がないか再評価すべきである。必要であれば、繰り返しの睡眠ポリグラフ検査によるモニタリングを行いながら手動で圧を設定することも可能である。AHIが改善するか否かにかかわらず、CPAPは認知障害を低減し生活の質を改善するのに加え、血圧を低下させる可能性がある。CPAPを離脱すると、数日にわたって症状が再発するが、急性病態に対する治療のための短期的な中断は通常よく耐えられる。治療期間は確立されていない。

経鼻的CPAPの有害作用としては、乾燥および鼻の刺激感(症例によっては加温加湿した空気の使用で軽減される)やサイズの合わないマスクによる不快感などがある。

患者の遵守に限界があるため、経鼻的CPAPによる治療が失敗する頻度は高い。呼吸覚醒閾値が低く、それに伴う覚醒の増加および不規則な呼吸の傾向が高い非肥満患者では、上記の有害作用に加えて長期的CPAPのアドヒアランスが低い。


口腔内装置

口腔内装置(歯科医によって調整されたマウスガード )は、下顎を前出させるように、または少なくとも睡眠中の下顎後退を予防するように設計されている。舌を前方に引き出すよう設計された装置もある。口腔内 装置は、寝ている間だけ口に入れるもので、気道を広げておくのに役立つ。ほとんどの口腔内装置は、寝ているときに舌が後方に下がってのどをふさがないように、下あごを前方に押し出して、上下のあごをずらすようにできている。

いびきおよび軽症から中等症のOSAの治療にこれらの装具を使用することが受け入れられつつある。口腔内装具とCPAPを比較した研究では、軽症から中等症のOSAにおいて同等性が示されているが、費用対効果を検討した結果はない。


手術

上気道閉塞に関わる扁桃腺肥大および鼻茸などの解剖学的因子を矯正するための外科的手技を検討すべきである。巨舌症または小顎症に対する手術も1つの選択肢である。解剖学的狭窄が同定されれば,手術が第1選択の治療である。しかしながら、狭窄がない場合に手術を第1選択の治療として支持するエビデンスは乏しい。

口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)が最も一般的に使用される手技である。この手術ではアデノイド切除を含め、口蓋弓から披裂喉頭蓋ひだにかけての粘膜下組織の切除などを行い、上気道の拡大を図る。この手術は、ほとんどの場合、軽度のSAS患者に有効である。しかしながら、 病的肥満、または解剖学的な気道の狭小化を認める患者では、UPPPが奏効しない可能性がある。さらに、UPPP後はいびきが消失するため、睡眠時無呼吸が気づかれにくくなる。このような症状がみられない閉塞は、外科的介入前に生じるものと同程度に重症の無呼吸エピソードを引き起こしうる。

補助的外科手技には、舌正中切除術、舌骨前方移動術、および上下顎前方移動術などがある。上下顎前方移動術は、ときにUPPPで治癒しない場合に第2段階の手技として提案される。至適な多段階アプローチは不明である。

気管切開はOSAに対する最も効果的な治療法であるが、これは最後の手段として行われる。これは閉塞部位をバイパスするものであり、最重症患者(例:肺性心がある患者)に対して適応となる。

新しい治療法として、上気道に刺激を与える方法がある。 上気道刺激療法では、植込み型器具を用いて舌下神経の枝を活性化する(舌下神経刺激 )。この治療法は、CPAP療法に耐えられない中等症から重症の高度に選択された患者において成功する可能性がある。


予防

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の予防策については、下記のような方法が知られている。

  • 体重管理
    • 肥満はOSAの最大の原因
    • 食事量の制限
    • 適度な運動
  • 飲酒を控える
    • アルコールは喉周辺の筋肉を弛緩させ、気道を狭める
  • 睡眠薬の摂取を控える
    • 睡眠薬は喉周辺の筋肉を弛緩させ、気道を狭める
  • 禁煙
    • 喫煙は喉の腫れや炎症を引き起こし、気道を狭くする
  • 健康的な睡眠習慣を持つ
    • 定期的な睡眠時間を確保する
    • 十分な睡眠をとる
  • 横向きで寝る
    • 仰向けに寝ると、舌が後ろに落ちて気道が塞がれる
    • 横向きに寝ることで、気道が塞がれるのを防ぐ

あとがき

日本では中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の有病者数が約900万人も存在すると推測した報告(2019年)がある一方で、治療を受けているOSA患者数は50万人にも達していないという報告もある。その原因は、おそらくOSAの認知度が低いため、未診断であることが多いと推察する。

OSAの有病率は、成人で2~9%とされ、男性は女性に比べて4倍も高いと言われている。さらに、肥満患者(BMI値が30以上)では有病率が7倍にも増大するらしい。

OSAの原因は、肥満かと思いきや、OSA患者の38%はBMI値が25未満で、OSA患者の5%はBMI値が18.5未満(痩せすぎ)であったとする調査結果の報告もある。肥満だけでは説明できない原因も存在するわけである。

いずれにせよ、OSAの有病率は高いという印象がある。私がOSAと診断されても不思議はないことがよく理解できた。

残念ながら、OSAを「完全に治す」というのは難しい。OSAの治療は、症状を管理するものであり、根本的な原因を解消するものではないからだ。治療を止めると症状が再発する可能性が十分にある。

それでも適切な治療と生活習慣の改善により、症状をコントロールし、健康的な生活(QOLを損なわない生活)を送ることは十分に可能となる。

OSAは、その原因や重症度によるが、適切な治療を行うことで症状を大幅に改善することが可能な疾病である。発症してしまった以上は、残された人生をOSAとうまくつきあって生きていくしかない。


【参考資料】
MSDマニュアル 家庭版・プロフェッショナル版
日本内科学会雑誌第109巻第6号 (jst.go.jp)