はじめに
シニア世代に入ると若い頃に比べて感染症に罹患しやすくなったように思う。おそらく加齢によって免疫力の低下が生じているのかも知れない。
加齢に伴い、免疫機能が低下することはよく知られた事実である。免疫機能は60歳を超えると20代のおよそ半分以下になると言われている。免疫を主導する白血球(T細胞)が生み出される数が減り、その活動も衰えるからである。さらにT細胞の成長を助ける脾臓やリンパ節の機能も低下するため、T細胞の病原体への反応が弱くなっているらしい。
私たちは、感染症に罹患しないよう感染予防対策をとると共に、感染した場合における対応についてもしっかりと知識を身につけておかなければならない。
細菌性感染症については別稿に記載しているので、本稿では、ウイルス性感染症とその感染予防対策について学びたいと思う。
<目次> はじめに ウイルス性感染症とは 原因 ウイルスとは ウイルスの種類 ウイルスの感染経路 ウイルス性感染症の分類 一類感染症 二類感染症 三類感染症 四類感染症 五類感染症 新型インフルエンザ等感染症 その他 症状 検査・診断 病原体検査 一般的な検査 治療 対症療法 抗ウイルス療法 ワクチン接種による予防 ワクチンの種類 ワクチンの効果 感染予防対策 あとがき |
ウイルス性感染症とは
ウイルス性感染症とは、ウイルスが人間の体内に侵入し、増殖することで発生する病気のことを指す。ウイルスは非常に小さく、生きた細胞に侵入しないと増殖(複製)できない特性を持っている。
ウイルスが人間の細胞に侵入すると、その細胞の中に自身のDNAやRNAを放出する。このDNAやRNAは遺伝物質で、ウイルス自身を複製するための情報を含んでいる。ウイルスの遺伝物質は細胞を支配し、強制的にウイルスを複製させる。ウイルスに感染した細胞は、ウイルスによって正常に機能できなくなるため、通常は死んでしまう。細胞が死ぬと、その細胞から新しいウイルスが放出され、他の細胞に感染する。
ウイルス性感染症は、無症状から重度の病態に至るまで、幅広い症状を引き起こす。ウイルス感染症は、ウイルスを飲み込んだり、吸い込んだり、虫に刺されたり、性的接触を通じて感染することがある。ウイルス感染症の症状は、鼻、のど、上気道や、神経系、消化器系、生殖器系に生じるものが最も多い。
原因
ウイルス性感染症とは、病原性のウイルスに感染する、すなわちウイルスが人間の体内に侵入し、増殖することで発症する。
ウイルスとは
ウイルスとは、細菌より小さな、感染性をもつ微粒子で、生物と非生物の間にある存在である。ウイルスは、生きた細胞の中に侵入しないと増殖することができない。感染症を引き起こす病原体となることもある。
ウイルスの種類
ウイルスには大別して、DNAウイルス と RNAウイルスの2種類がある。DNAウイルスとRNAウイルスとは、自らの遺伝情報をそれぞれDNA(デオキシリボ核酸)又はRNA(リボ核酸)という核酸にのせているウイルスのことである。RNAウイルスは、DNAウイルスに比べて突然変異を起こしやすいのが特徴の一つである。
DNAウイルス | RNAウイルス |
---|---|
単純ヘルペスウイルス | コロナウイルス |
水痘・帯状疱疹ウイルス | ロタウイルス |
EBウイルス | ノロウイルス |
アデノウイルス | RSウイルス |
B型肝炎ウイルス(HBV) | インフルエンザウイルス |
ウイルス(HPV) | 麻疹ウイルス |
天然痘ウイルス | ヒト免疫不全ウイルス(HIV) |
C型肝炎ウイルス(HCV) |
ウイルスは、生き物の細胞の中に侵入するとその中で増殖に必要な遺伝情報を含むDNAやRNAを放出し、増殖していく。さらに感染した細胞から、増殖した大量のウイルスが放出され、別の細胞に感染を引き起こす。ウイルスは決まった種類の細胞のみに感染する性質を持つものが多く、感染した細胞にダメージを与えたり、免疫反応を引き起こしたりすることで発熱や痛みなどの症状を引き起こす。
慢性的に感染して細胞の機能に影響を与えるようなウイルスも存在し、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)やヒトパピローマウイルス(HPV)などのようにがんの原因となるものも知られている。
ウイルスの感染経路
ウイルスには飛沫感染、空気感染、接触感染などさまざまな感染経路があるため、感染を予防するにはそれぞれの感染経路にあった対策が必要となる。
空気感染の飛沫核は非常に小さな粒子(直径が5μm以下)であるため、通常のサージカルマスクでは感染を予防することはできない。
感染経路 | 概要 | 代表的なウイルス |
---|---|---|
飛沫感染 | 感染者が咳やくしゃみなどをした際に飛び散る飛沫が周囲の人の口や鼻の中に入り込むことによって感染する | インフルエンザウイルス、風疹ウイルス |
空気感染 | 感染者から排泄された、細かい飛沫核が空間を漂い、それを同じ空間にいる人が吸い込んで感染する | 麻疹ウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス |
接触感染 | ウイルスが付着した物品や感染者の手、吐物・便・鼻汁などに触れた手から口や鼻の中にウイルスが入り込むことによって感染する | インフルエンザウイルス、風疹ウイルス、 ノロウイルス、 ロタウイルスなど |
糞口感染 | ||
経血液・体液感染 | 血液や体液を介して感染 | HIV、HBV、HCV |
ベクター媒介感染 | ||
垂直感染 | 胎盤や産道を通して母体から胎児に感染 | 風疹ウイルスやサイトメガロウイルスなど |
ウイルス性感染症の分類
国内では、感染症を予防し、広範囲に拡がったときに正しい対処ができるよう定めた「感染症法」という法律がある。感染症法では、世の中にあるさまざまな感染症を8つの種類に分類し、それぞれの種類によって、強制的な入院勧告や就業制限など感染拡大を予防するために行われる措置を定めている。
一類感染症
感染力が強く、発症した場合は非常に重篤な状態に陥る可能性がある極めて危険な感染症。原則的に入院が勧告され、場合によっては交通制限が発動されることもある。
感染症名 | 病原体名 |
---|---|
エボラ出血熱 | エボラウイルス |
クリミア・コンゴ出血熱 | クリミア・コンゴ出血熱ウイルス |
痘そう (天然痘) | 天然痘ウイルス(Poxvirus variolae) |
南米出血熱 | アレナウイルス科に属するウイルス |
マールブルグ病 | マールブルグウイルス |
ラッサ熱 | ラッサウイルス(Lassa virus) |
二類感染症
感染力が強く、発症した場合は重篤な状態に陥る危険が高い感染症を指す。必要に応じて入院勧告が出され、一定期間食品を取り扱う業務に就くことができなくなる。
感染症名 | 病原体名 |
---|---|
急性灰白髄炎(ポリオ) | ポリオウイルス |
重症急性呼吸器症候群 | SARSコロナウイルス |
中東呼吸器症候群 | MERSコロナウイルス |
鳥インフルエンザ(H5N1) | H5N1 亜型高病原性 鳥インフルエンザウイルス |
鳥インフルエンザ(H7N9) | H7N9 亜型高病原性 鳥インフルエンザウイルス |
三類感染症
発症した場合に重篤な状態に陥る危険性は少ないものの、特定の職業に就業することによって集団発生を引き起こす可能性がある感染症を指す。一定期間、食品を取り扱う業務に就くことができなくなる。
ウイルス性感染症で「三類感染症」に分類されているものは、現時点ではリストにない。
四類感染症
主に動物を介して感染が拡がり、健康に影響を与える恐れの高い感染症。対象となる動物の輸入禁止や検閲強化などの措置が取られる。
感染症 | 病原体 |
---|---|
A型肝炎 | A型肝炎ウイルス |
E型肝炎 | E型肝炎ウイルス |
ウエストナイル熱 | ウエストナイルウイルス |
黄熱 | 黄熱ウイルス |
ダニ媒介脳炎 | ダニ媒介脳炎ウイルス |
オムスク出血熱 | オムスク出血熱ウイルス |
キャサヌル森林病 | キャサヌル森林病ウイルス |
狂犬病 | 狂犬病ウイルス(Rabies virus) |
サル痘 | サル痘ウイルス |
ジカウイルス感染症 | ジカウイルス |
重症熱性血小板減少症候群 | SFTSウイルス |
腎症候性出血熱 | ハンタウイルス |
チクングニア熱 | チクングニアウイルス |
デング熱 | デングウイルス |
東部ウマ脳炎 | 東部ウマ脳炎ウイルス |
鳥インフルエンザ | H5N1及びH7N9以外の 鳥インフルエンザウイルス |
ニパウイルス感染症 | ニパウイルス |
日本脳炎 | 日本脳炎ウイルス |
ハンタウイルス肺症候群 | ハンタウイルス |
Bウイルス病 | Macacine alphaherpesvirus 1 (B ウイルス、Herpesvirus simiae) |
ベネズエラウマ脳炎 | ベネズエラウマ脳炎ウイルス |
ヘンドラウイルス感染 | ヘンドラウイルス |
リッサウイルス感染症 | リッサウイルス |
リフトバレー熱 | リフトバレー熱(RVF)ウイルス |
五類感染症
発生動向を調査し、その情報を国民や医療従事者に周知することで、発生予防に役立つと考えられる感染症を指す。
感染症 | 病原体 |
---|---|
ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く) | B 型肝炎ウイルス、C 型肝炎ウイルス、D 型肝炎ウイルス |
急性弛緩性麻痺(急性灰白髄炎を除く) | エンテロウイルス |
急性脳炎(ウエストナイル脳炎、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、東部ウマ脳炎、日本脳炎、ベネズエラウマ脳炎及びリフトバレー熱を除く) | |
後天性免疫不全症候群 | ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus, HIV) |
水痘(入院例に限る) | 帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus、VZV) |
先天性風しん症候群 | 風疹ウイルス |
風しん | 風疹ウイルス |
麻しん | 麻疹ウイルス |
RSウイルス感染症 | Respiratory syncytial virus(RSV) |
咽頭結膜熱 | アデノウイルス |
ロタウイルス感染性胃腸炎 | ロタウイルス |
ノロウイルス感染性胃腸炎 | ノロウイルス |
サポウイルス感染性胃腸炎 | サポウイルス |
アデノウイルス下痢症 | 腸管アデノウイルス |
水痘 | 帯状疱疹ウイルス |
手足口病 | エンテロウイルス |
伝染性紅斑 | |
突発性発しん | ヒトヘルペスウイルス |
ヘルパンギーナ | エンテロウイルス |
流行性耳下腺炎 | ムンプスウイルス |
インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く) | インフルエンザウイルス |
急性出血性結膜炎 | エンテロウイルス EV70 又は、コクサッキーウイルスA24変異株 (CA24v) |
流行性角結膜炎 | アデノウイルス |
性器ヘルペスウイルス感染症 | 単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus: HSV,HSV-1 型又は 2 型) |
尖圭コンジローマ(およびHPV感染症) | ヒトパピローマウイルス |
無菌性髄膜炎 | エコーウイルス、コクサッキーB ウイルス等のエンテロウイルス |
新型インフルエンザ等感染症
人から人に感染することが分かった新しいタイプのインフルエンザを指す。国民の多くが免疫を持っていないため全国的に大流行し、発症すると重篤な状態に陥る可能性があると考えられている。必要であれば、一類感染症と同様の対処が取られることがある。
感染症名 | 病原体名 |
---|---|
新型コロナウイルス感染症 | 2019-nCoV(新型コロナウイルス) |
尚、新型コロナウイルス感染症は、2023年5月8日から「5類感染症」に移行されている。この移行により、新型コロナウイルス感染症の対策は、法律に基づく行動制限から、個人の自主判断に基づくものに変わっている。
その他
感染症名 | 病原体名 |
---|---|
進行性多巣性白質脳症 | JCウイルス |
症状
ウイルスによる感染症の症状は、原因となるウイルスの種類や感染が生じた部位によって大きく異なる。そのため、症状は多岐にわたる。基本的には感染が生じた細胞がダメージを受けたり、免疫が反応したりするために、発熱や痛み、機能障害などが引き起こされる。
疾病名 | 主な症状 | 原因ウイルス |
---|---|---|
上気道感染症 (呼吸器感染症) | 鼻・喉などの粘膜に感染し、喉の痛み・咳・鼻汁・鼻づまり・発熱などの症状が発現 肺炎:乳幼児や高齢者で重症化した場合 | インフルエンザウイルス、アデノウイルス、ライノウイルスなど |
感染性胃腸炎 | 消化管の細胞に感染し、吐き気・嘔吐・下痢・腹痛・発熱などが発現。重篤な場合には頻回な下痢や嘔吐の影響で脱水に陥る。 | ノロウイルスやロタウイルスなど |
皮疹 | 麻疹ウイルスや風疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルスなど | |
細胞の性質を変化させ、長い時間をかけてがんを引き起こす | 肝炎ウイルスやHPV |
検査・診断
ウイルスによる感染症が疑われる場合は、疑われる感染症の種類や症状などに応じて検査が行われる。
病原体を特定するための病原体検査以外に、血液検査や画像検査などの一般的な検査が実施される。
病原体検査
PCR検査 |
病原体としてウイルスを特定するために、PCR検査が実施されることがある。喀痰や血液などのサンプル中に病原体が存在するか否か、また方法によってはどの程度の量のウイルスがあるかなどを調べることができる。 |
抗体検査 |
血液中の特異的な抗体の量を測ることで感染の有無や感染状況を把握することが行われる。ワクチンの効果の判定にも用いられる。 |
抗原検査(簡易検査) |
インフルエンザウイルス、ノロウイルス、RSウイルスなどに対しては、鼻汁や便などウイルスが潜んでいると考えられる排泄物をごく少量採取して特殊な薬を反応させるとウイルスの有無が短時間で判定できる 簡易検査キット”がある。その多くは抗原検査という種類のものです。簡便に検査をすることができるため、簡易検査キットが開発されているウイルスによる感染症が疑われる場合は広く使用されている。 |
一般的な検査
血液検査 |
炎症や脱水の有無や程度の評価、肝機能や腎機能の状態の評価などを行うために血液検査が実施される。 |
画像検査 |
ウイルスによる感染症は重症化すると、肺炎、肝炎、腸炎などの症状を引き起こすことがあるため、それぞれの症状に応じて単純レントゲン、CT、MRIなどによる画像検査を行うことがある。 |
治療
ウイルス感染症の治療法には、対症療法と抗ウイルス療法がある。
対症療法
対症療法とは、症状に対する治療である 。多くの急性ウイルス感染症の治療は症状に対処し、全身の状態を維持・改善させることが目的となる治療を行う。
具体的には、発熱に対する解熱剤などの薬物療法、脱水を予防・補正するための点滴治療、肺炎による呼吸状態の悪化に対する酸素投与・人工呼吸器管理などの対症療法が知られている。
抗ウイルス療法
抗ウイルス療法とは、ウイルスの増殖などを防ぐ薬である抗ウイルス薬の投与によって行われる。
しかしながら、全てのウイルスに対しての抗ウイルス薬が開発されているわけではなく、特に急性ウイルス感染症ではインフルエンザウイルス、単純ヒトヘルペスウイルスなどに限られているのが現状である。
慢性ウイルス感染症に対しては、HCVに対してウイルスを排除する優れた治療薬が開発されているほか、HIVではウイルスの感染状態をコントロールすることが可能となっている。
ワクチンによる予防
ワクチンの種類
予防法として、ワクチンが開発されているウイルスについてはワクチンを接種しておくことが重要になる。ワクチンの接種により高い感染予防効果が期待でき、もっとも有効な予防策といえる。
ワクチンとは、体内に侵入する細菌やウイルスなどの病原体に対する免疫を作り、特定の感染症にかかるリスクや重症化するリスクを抑える予防接種に用いられる薬剤のことである。
種類 | 概要 | 適応ウイルス |
---|---|---|
生ワクチン | ウイルスの毒性を弱めて作るワクチン | BCG、MRワクチン、水痘ワクチン、ロタウイルスワクチンなど |
不活化ワクチン | 特殊な処理を加えてウイルスの感染力を失わせて作るワクチン | Hibワクチン、肺炎球菌ワクチン、4種混合ワクチンなど |
mRNAワクチン | 合成したmRNAを体内に投与し、ウイルス特有のたんぱく質(抗原)を産生させ、それに対する免疫を獲得するワクチン | 2020年に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して開発・承認された。 |
ベクターワクチン | ||
トキソイド | 病原体が産生する毒素に特殊な処理を施し無毒化して作るワクチン | ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン |
生ワクチンは、弱毒化した病原体が体内で増殖しながら免疫を作っていくため、発熱など原疾患に似た症状が副反応として起こることがあるが、強い免疫ができやすい。
一方、不活化ワクチンは、副反応が少ないが、免疫誘導力は生ワクチンより弱いために複数回の接種が必要である場合が多い。
ワクチンの効果
ワクチン接種によって体内に抗体を作り、その抗体によって感染症にかかりにくくする、かかったとしても重症化を予防する、といった効果がある。これを免疫という。また、多くの人がワクチン接種すると社会全体での感染症を防ぐことができる効果も高くなる。
一度免疫ができると、再びその病原体が体に侵入したとしても、私たちに備わった免疫機能が素早く攻撃を開始するため、病原体は体内から排除されて感染しにくくなったり、感染して発症したとしても重症化しにくくなることが期待できる。ただし、ワクチンの種類によって免疫ができる程度や免疫のはたらきが薄れるまでの期間は異なる。
感染予防対策
ワクチン以外の方法でウイルスに感染症を防ぐには、体内にウイルスを取り込まないための対策、すなわち「感染経路を断つ」対策を講じることが大切である。
具体的には手洗い、手指や環境の消毒、マスクの着用などが挙げられる。
また、空気感染をする感染症が疑われる場合は一般的な感染対策のみでは十分な予防ができないため、N95等の特殊なマスクを使用する、陰圧室管理をする、高機能フィルターを用いた常時換気を行うといった対策も必要になる。
経路別に適切な対策を取ることが重要である。
あとがき
ウイルス性感染症の種類が細菌性感染症よりも多いことに率直に驚いてしまった。かつてはウイルスに直接的に作用する治療薬がなく、ウイルス感染症には対症療法しかない時代が長く続いた。医療技術の進歩のおかげで、根治療法となる抗ウイルス薬の登場で、ウイルス性感染症を克服できる時代に入ったことは喜ばしいことである。
しかしながら、まだ特効薬が存在しないウイルス性感染症も世の中には多く存在する。しかも人類がまだ知らないウイルスも存在している上に、ウイルスは変異を繰り返すので治療薬に対して耐性を持つようなる。人類とウイルスとの攻坊は今後も続いていくことになるだろう。そのような状況の中でmRNAワクチンの登場は、人類にとっては光明である。
【参考資料】
MSDマニュアル 家庭版・プロフェッショナル版 |
国立感染症研究所HP 感染症疫学センター (niid.go.jp) |
新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について|厚生労働省 (mhlw.go.jp) |