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筋ジストロフィーとは?原因と症状は?治療法は?

はじめに

筋ジストロフィーは、遺伝子の変異によって発症する遺伝性の疾患で、筋肉の筋線維が壊れやすく、再生がされにくいといった症状をもつ進行性の筋力低下を認める疾患である。日本での筋ジストロフィー全体の有病率は、人口10万人当たり約17~20人程度と推測されている。

筋ジストロフィーの種類によっては、症状の進行が速く、早期に重度の身体障害を引き起こすことがある。また、遺伝性の疾患であるため、家族間での発症リスクがあり、その管理と予防もまた難しさを増している。

例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーや福山型先天性筋ジストロフィーは幼児期に発症することが多い。一方で、肢帯型筋ジストロフィーや顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーなどは青年期以降に発症する。このように筋ジストロフィーの種類によっては、発症年齢が異なるし、発症や症状の進行は、遺伝子の変異とそれぞれの疾患の特性によるもので、直接的には加齢とは関連していない。しかしながら、症状の進行や悪化は、加齢に伴い進行することもある。

筋ジストロフィーは、その進行性と遺伝性の性質、および現状の治療法の限界(困難さ)から、厚生労働省によって指定難病の一つに認定されている。現在のところ、筋ジストロフィーの根治療法は存在せず、治療は対症療法とリハビリテーションが中心となっている。

目次
はじめに
筋ジストロフィーとは
原因
症状
検査・診断
治療
あとがき

筋ジストロフィーとは

筋ジストロフィーとは、正常な筋肉の構造と機能のために必要な遺伝子の1つ以上に異常があるために、様々な重症度の筋力低下を引き起こす遺伝性筋疾患総称である。

筋ジストロフィーには、デュシェンヌ型、ベッカー型、肢帯型、顔面肩甲上腕型、先天性、エメリー・ドレフュス型などの多くの疾患が含まれる。

最も多くみられる病型の筋ジストロフィーは、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーである。

2番目に多くみられ、かつ、最も重症の病型であるのがデュシェンヌ型筋ジストロフィーである。

ベッカー型筋ジストロフィーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィーと密接に関連していますが、発症時期がより遅く、引き起こされる症状もより軽いものである。デュシェンヌ型筋ジストロフィーとベッカー型筋ジストロフィーは、体幹に最も近い筋肉に筋力低下を引き起こす筋ジストロフィーである。

その他の病型としては、エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー筋強直性ジストロフィー肢帯型筋ジストロフィー先天性筋ジストロフィーなどが知られている。


原因

筋ジストロフィーは、筋肉の機能に関与している遺伝子の異常によって発生し、小児期や青年期に筋力低下を引き起こす。男児に発生する場合がほとんどである。

筋ジストロフィーは、筋肉の機能に不可欠なタンパク質の設計図となる遺伝子に変異が生じたために発症する。遺伝子に変異が生じると、タンパク質の機能が障害されるため、細胞の正常な機能を維持できなくなり、筋肉の変性壊死が生じる。その結果、筋萎縮や脂肪・線維化が生じ、筋力が低下し運動機能など各機能障害をもたらす。


病状

どのタイプの筋ジストロフィーも筋力低下を特徴とする。筋ジストロフィーは、筋肉の筋線維の壊死と再生を主な病変とし、進行性の筋力低下を認める。筋肉の壊死と再生が慢性的に繰り返されることで、筋肉の萎縮や繊維化などが起こり、筋力が低下し、運動機能に障害が起こる。


検査・診断

筋ジストロフィーの検査と診断は、下記の手順で実施される。但し、筋ジストロフィーの種類や症状の程度により、必要な検査は異なる場合がある。

  1. 症状や家族歴、診察所見
    • 患者の症状、家族歴、診察所見で情報収集
    • 情報を元に筋ジストロフィーの可能性を疑う
  2. 血液検査
    • CK、ASTやALTと呼ばれる酵素を測定
    • 高値であった場合に筋ジストロフィーを疑う
  3. 筋電図検査
    • 筋肉の電気的な活動を評価
  4. 遺伝子検査
    • 筋ジストロフィーの原因となる遺伝子変異を特定
    • デュシェンヌ型の場合、遺伝子検査で大半が診断可能
  5. 筋生検
    • 遺伝子検査で診断できない場合、筋生検を行う
    • 筋肉の小さなサンプルを取り出し、顕微鏡で調べる
  6. 心臓の機能確認
    • 心電図や心エコーなどを実施
  7. 診断
    • 検査結果を基に診断を下す

治療

筋ジストロフィーの治療法は、現在の医療技術では根治療法は存在せず、主に下記のような対症療法が行われる。

  • リハビリテーション
    • 適切な運動を続ける
      • 筋肉の萎縮を遅らせ、筋力を保持する
  • ステロイド療法
    • デュシェンヌ型などに対しては、ステロイド薬を使用
    • 筋力低下の進行を遅らせる
  • 新しい治療法の開発
    • エクソン53スキップという新しい治療法の開発
    • 治療目標は、デュシェンヌ型をベッカー型の状態へ

あとがき

冒頭(「はじめに」を参照)で、筋ジストロフィーの治療の現状は、根治療法ではなく、対症療法とリハビリテーションが中心であると述べた。

しかしながら、朗報として、筋ジストロフィーの遺伝子レベルの発病メカニズムの解明が進み、新たな治療法の研究開発が進んでいる。近い将来、根治療法が筋ジストロフィーの治療に加わることを期待している。


【参考情報】
MSDマニュアル 家庭版・プロフェッショナル版
筋ジストロフィー(指定難病113) – 難病情報センター

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