はじめに
交通事故や転倒などの事故によって頭部を強く打って頭部に外傷を負った場合、急性硬膜下血腫になる場合がある。急性硬膜下血腫とは、脳を覆っている硬膜と脳の間に出血が起こり、脳を強く圧迫する病気を指している。
また、事故らしい事故を起こしていなくとも急性硬膜下血腫が発症している場合があるので厄介な病気である。早期の診断と適切な早期治療が必要となる重篤な病気であると認識しないといけない。
急性硬膜下血腫を引き起こすと、出血が急速に進行するため、早期の手術が必要となる。手術の目的は、硬膜下の血液を取り除いて脳への圧迫を軽減することである。
急性硬膜下血腫が確認された場合は、早急な手術が必要で、出血を止め、血液を除去する手術を行うのは最優先であるのは確かであるが、手術による予後は決して良いわけではないという。
急性硬膜下血腫とは
急性硬膜下血腫は、頭部外傷により脳を覆っている硬膜と脳の間に出血が起こり、脳を強く圧迫する病気を指す。
急性硬膜下血腫は、あらゆる年齢層に起こり得るが、特に高齢者に多いとされるので、私たちシニア世代が気をつけなければ病気と言える。
原因
急性硬膜下血腫の原因は、頭部外傷によるものが大半であり、脳が傷ついて脳挫傷となり、そこからの出血により引き起こされることが多い。
また、脳の損傷が強くなくても頭部に大きな力がかかって脳の表面の血管が傷つき出血することで、急性硬膜下血腫を引き起こす場合もあるので注意が必要である。
硬膜下血腫の発症リスクを高める因子には下記のようなものがあることが知られている。
- 頭部外傷
- 交通事故や転倒などで頭を強く打つこと
- 交通事故や転倒などで頭を強く打つこと
- 高齢
- 高齢者では比較的軽い打撲でも急性硬膜下血腫が発生することがある
- 高齢者では比較的軽い打撲でも急性硬膜下血腫が発生することがある
- 薬剤
- 抗血液凝固薬を内服している場合、頭部外傷での出血リスクが高まる
- 抗血液凝固薬を内服している場合、頭部外傷での出血リスクが高まる
- 特定の疾患の罹患
- 脳血管奇形や脳腫瘍などの疾患による出血が急性硬膜下血腫の原因となることもある
症状
急性硬膜下血腫の症状は、受傷直後から意識障害が見られる。その理由は、強い頭部外傷によって引き起こされる急性硬膜下血腫が脳の損傷を伴うからである。
しかしながら、脳血管のみが傷つき、脳自体の損傷がない場合には、発症初期には意識障害が見られない。そして、徐々に意識障害が出現してくることがあるので注意が必要となる。
検査・診断
急性硬膜下血腫は、通常、頭部CT検査によって診断される。
硬膜下血腫は脳の表面に広がるのが特徴であるため、急性硬膜下血腫になった患者の脳のCT画像では脳の表面に白い三日月型の血腫が観察されるという。
治療
急性硬膜下血腫の治療には全身麻酔下での開頭血腫除去術(手術)が必要になる場合が多い。
血腫による脳の圧迫が強い場合は、救命のため、緊急手術で血腫を除去し、脳の圧迫を解除する必要がある。
圧迫が強くない場合も、血腫が増大することで意識障害がさらに悪化する可能性があり、厳重な管理を行なう必要がある。
急性硬膜下血腫の予後(発症後の見通し)は意識障害の程度と関係している。手術した場合の死亡率は65%と高い。一方で、社会復帰できる人は18%と2割を切っていることが報告されており、予後が非常に悪い外傷と言える。
予防
急性硬膜下血腫の予後が非常に悪いことから、私たちはできるだけ発症しないよう予防に徹する必要がある。予防策には下記のような方法が知られている。
- 転倒予防
- 硬膜下血腫の原因には転倒による頭部外傷が多い
- 転倒を防ぐことが重要
- 家の中での転倒リスクを減らす
- 段差の確認
- 階段の手すりの有無
- 廊下などの明るさなどをチェック
- 硬膜下血腫の原因には転倒による頭部外傷が多い
- ヘルメットの着用
- ヘルメットは頭部外傷を軽減するのに役立つ
- ヘルメットの着用が推奨されるアクティビティ
- 自転車
- スケートボードなど
- 移動時の工夫
- 高齢者は転倒リスクが高い
- 特に移動時には転倒リスクが高まる
- 歩き慣れていない場所では、無理して歩かない
- 車椅子などを使用することが推奨
- 車椅子などを使用することが推奨
- アルコールの適量摂取
- 多量のアルコール摂取は脳の萎縮を引き起こす
- 脳周辺に空間ができやすくなる
- 出血が起きると血が溜まりやすい環境になる
- 飲酒をするなら適量にとどめておく
- 抗凝固剤の適切な使用
- 抗凝固剤は血液をサラサラにする効果がある
- 抗凝固剤には内出血を引き起こしやすい副作用がある
- 抗凝固剤を服用している場合は転倒に特に注意が必要
あとがき
足腰の弱ってくる私たちシニア世代はとかく転倒しやすくなっていると言わざるを得ない。生命にかかわる急性硬膜下血腫の重篤さを考慮すれば、予防が特に重要となるのは明らかである。日々の生活のなかで予防策を実践し、発症の引き金となる転倒などによる頭部外傷を防ぐことが私たちにとっては最良策となる。
また、自分自身の健康について、特に意識レベル、頭痛、嘔吐、けいれんなどの症状がないかを注意深くモニタリングすることを習慣化しておきたいものである。そして、このような症状を自覚した場合には、自己判断せず、専門医に相談し、早期の診断と適切な治療を受けることが重要である。
【参考資料】
急性硬膜下血腫 – 基礎知識(症状・原因・治療など) | MEDLEY |
急性硬膜下血腫とは | 済生会 (saiseikai.or.jp) |
急性硬膜下血腫について | メディカルノート (medicalnote.jp) |
「急性硬膜下血腫」を発症する原因・症状は?| メディカルドック |