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軽度認知障害(MCI)とは何か?原因・症状・予防法

はじめに

最近、巷で軽度認知障害(MCI)という用語を耳にする機会が増えてきた。一般に軽度認知障害(MCI)とは、健常者と認知症患者の中間(Mild Cognitive Impairment;MCI)のグレーゾーンに位置する状態で、認知機能に若干の問題が生じているものの、日常生活には支障がない状態のことを指している。

MCIは、日常生活には支障がない状態とは言え、放置すると認知機能の低下が続くことに変わりはない。そして、MCIから認知症に症状が進展する人の割合は年平均で10%と言われている。これは、5年間で約40%の人は認知症へと進行することを意味する。

厚生労働省は、認知症とMCIを合わせると約862万人存在すると発表している。この推計は、65歳以上の高齢者に関して言えば4人に1人の割合に相当するらしい。認知症やMCIは、私たち医シニア世代にとっては非常に身近なものであり、誰もが無視するわけにはいかない疾病あるいは障害となっている。

目次
はじめに
軽度認知障害(MCI)とは
MCIの原因
MCIの症状
MCIの予防法
あとがき

軽度認知障害(MCI)とは

軽度認知障害MCIMild Cognitive Impairment)は、健常者と認知症患者の中間(グレーゾーン)に位置する状態で、認知機能に若干の問題が生じているものの、日常生活には支障がない状態を指す。MCIの定義は、以下のようになっている。

1.本人または家族から記憶障害の訴えがある
2.日常生活動作は正常
3.全般的な認知機能は正常
4.年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する
5.認知症ではない


MCIの原因

軽度認知障害(MCI)の原因は、はっきりとしたことは分かっていないが、一般的な理解としては認知症への過渡期という観点から下記のような疾患がMCIの原因として指摘されている。

  • アルツハイマー病などの神経変性疾患
  • 脳血管障害
  • うつ病
  • 甲状腺機能低下症

MCIの症状

軽度認知障害MCI)の症状は、例えば下記のような具合である。

  • 最近会ったばかりの人の名前を思い出せない
  • 仲の良い人の名前をなかなか思い出せない
  • 短時間で同じ質問を何度も繰り返す
  • 1日のうちに同じ会話を何度もすることが多くなった
  • 会話の途中で何の話をしているのかわからなくなる
  • スケジュールやお金の管理ができない
  • 掃除や料理の段取りが悪くなってスムーズに行えない
  • 外出するときに服装や髪型がちぐはぐでも気にしない
  • ものを置いたらすぐにどこに置いたか忘れることが増えた
  • 道に迷うことが多くなった
  • 興味が持てない

哀しいかな高齢になると誰もが一つや二つは思い当たるようになる症状である。これらの症状が頻繁に、かつ、ひどくなっている場合にはMCIを疑う必要がある。早めに専門医に相談した方が良さそうである。


MCIの予防法

軽度認知障害MCI)の予防法としては、例えば下記のような対策が推奨されている。

  • 定期的な運動習慣をつける
  • バランスの取れた食事を摂る
  • 認知訓練(能トレ)を行う
  • 社会的なつながりを保つ

適切な対策をとることで、MCIの進行を遅らせたり、症状を軽減することが可能である。


あとがき

軽度認知障害(MCI)という医学用語は、あまりなじみがないかも知れないが、症状自体は高齢者の多くが程度の差こそあれ誰しもが経験する身近な現象である。

私たちシニア世代は、いつまでも健常者と同じ生活が送れることを願っているが、なかなかそう簡単にはいかないようだ。それならせめて認知症の手前であるMCIの状況で踏ん張って寿命を全うしたいものである。そのための努力は惜しみたくはない。


【参考資料】
軽度認知障害|厚生労働省
軽度認知障害(MCI)とは? | 認知症ねっと
軽度認知障害(MCI)とは?症状と予防方法を解説|みんなの介護

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