はじめに
日本人の約5人に1人は動脈硬化がきっかけで心臓や脳の病気で亡くなると報告されている。このデータは、全国の循環器科や心臓血管外科を有する全国2,519施設もの医療施設に調査を依頼して、1476施設から回答を得た上での調査結果であるから信憑性も高いと言えるだろう。
動脈硬化自体は、血液を全身に運ぶ動脈の血管が硬くなり、弾力性を失ってしまった状態を指すだけだが、動脈硬化が進行してより重篤な心臓や脳の病気を引き起こすので厄介な病気である。
また、動脈硬化は加齢とも関連があるようなので、シニア世代にとっては気がかりである。人間の血管は生まれたときから硬化が始まっており、10歳前後から急激に血管の硬さが増してきて、30歳前後に動脈硬化が現れると言われている。加齢によって動脈硬化が進行する理由は、体内のコラーゲンやエラスチンの量が減少し、質が低下してくるからであるとされる。
しかしながら、動脈硬化の進行には個人差があり、高血圧や脂質異常症、喫煙、ストレスなどの危険因子が影響しているという。これらの危険因子は生活習慣に関連するものなので、生活習慣の乱れを正し、適切な生活習慣を身につけることによって動脈硬化の発症を抑制、あるいは、少なくとも進行を遅らせることができるのではないかと思う。
動脈硬化とは
動脈硬化とは、血液を全身に運ぶ動脈の血管が硬くなり、弾力性を失ってしまった状態を指す。
原因
動脈硬化は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙、ストレスなどのリスク要因によって起こることが多いとされる。
症状
動脈硬化の症状は、動脈が細くなり、弾力性が失われて硬く脆くなっていく状態を指す。
検査・診断
動脈硬化の検査としては、血液検査、画像検査、血管機能検査などが行われる。
治療
動脈硬化は、一度発生すると元の状態に戻す方法はない。したがって、治療の目的は、進行を抑制して心筋梗塞や脳卒中などの合併症を予防することが主体となる。
そのため、動脈硬化の治療は、下記のような生活習慣の改善が主となる。生活習慣の改善で動脈硬化を改善できない場合には、薬物療法が必要となる。つまり、薬物療法や手術は緊急避難的な側面がある。
- 生活習慣の改善
- 食事や運動習慣を見直す
- 規則正しい食事
- 適度な運動
- 生活習慣病を予防・改善する
- アルコールの適量摂取
- 禁煙
- 食事や運動習慣を見直す
- 薬物療法
- スタチン系薬剤
- コレステロールを減らす作用のある
- スタチン系の薬剤
- 中性脂肪の産生を抑え、コレステロール排泄を増加
- オメガ3-脂肪酸製剤
- 中性脂肪を減らして血液をサラサラにする
- 小腸コレステロールトランスポーター阻害薬
- 腸管からのコレステロール吸収を阻害する
- スタチン系薬剤
- 手術
- バイパス手術
- カテーテル治療
- 血流が悪い場合は血行を改善する
- 人工血管に交換して動脈瘤の破裂を予防する
- 動脈瘤などがある場合の手術
予防
動脈硬化の予防策としては、下記のような対策が知られている。
- 肥満を解消する
- 肥満は動脈硬化の一因
- 適切な食事量と運動量で体重を健康的な範囲に保つ
- 食生活の見直し
- 飽和脂肪酸の摂り過ぎに注意
- 不飽和脂肪酸や食物繊維を含む食材を積極的に摂取
- 食事の量を適切に調整する
- 糖質や脂質の多い食事を控える
- 適度な運動
- 適度な運動を行い、体内の脂肪を燃焼させる
- 有酸素運動を週3~4回、30分以上行う
- ウォーキングやジョギング、水泳など
- 禁煙
- 喫煙は動脈硬化を促進する
- 禁煙を心がける
- 適度な飲酒
- アルコールの過剰摂取は脂肪肝の一因
- アルコールの摂取量を減らす
あとがき
動脈硬化は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などの生活習慣病や喫煙、運動不足、ストレス、偏った食事などの好ましくない生活習慣が原因で引き起こされるらしい。
よって動脈硬化の発症を予防するには、日頃から食事や運動などの生活習慣を整えて生活習慣病を予防・改善することを心がける必要がありそうだ。