はじめに
顆粒球(granular leukocyte)は、 細胞質内に多数の顆粒を含む多核白血球のことをいう。
顆粒の染色性の違いによって、好中球、好酸球、好塩基球の三種類に分類される。顆粒球は、生体防衛機能、特に感染防御を担っており、活動の場は、血管外組織になる。
白血球は、からだの中に侵入してきたウィルスや細菌などから、常に命を守り続ける免疫細胞である。からだの中では多種多彩な免疫細胞群(白血球の仲間達)が、緻密な連携を組んで異物と戦っている。
顆粒球の分類
白血球は、細胞の中に多数の顆粒がある顆粒球と、顆粒のない無顆粒球に分類される。さらに、顆粒球のうち、酸性の色素に染まるものを好酸球、塩基性の色素に染まるものを好塩基球、中性の色素に染まるものを好中球と呼び、区別している(下図参照)。尚、無顆粒球は単球とリンパ球分類される。
顆粒球の役割
好中球 |
全白血球中の50%以上を占める白血球の一種で、特に細菌や真菌などの病原菌を処理する。異物の方へ向かう運動走化性、異物を取り込む貪食能、酵素(リソソーム中の タンパク質分解酵素であるアルカリプロテアーゼ )で異物を分解する殺菌能が強い。 |
好酸球 |
呼吸器や腸管などに存在する白血球の一腫で、細菌などの病原体や異物を処理する働きがある。特に寄生虫感染が起きた際に増加して寄生虫を攻撃するという特徴がある。一方でアトピー性皮膚炎の原因になることもある。アレルギー反応などが起こった時に増加する。 |
好塩基球 |
白血球の一腫で大きさはさまざまである。好酸球や好中球の移動をサポートしたり、寄生虫から体を守ったりする。一方で、ヒスタミンを放出してアレルギー反応を引き起こすこともある。 細胞内にヒスタミンなど種々の生理活性物質を含有していて、主に炎症反応に関与する。 |
顆粒球にある顆粒の中身はリソソームで、タンパク質分解酵素のアルカリプロテアーゼを含み、摂取した細菌を分解して消化する(貪食作用)。(下図参照)
白血球を貪食作用の盛んな順に並べると、 下記のような順になり、貪食作用の50~70%は好中球が担っている。 好中球は、主として小さな細菌を処理する係で、5~25個の細菌を処理した後は死滅するが、その後は膿となって残る。
好中球 > 単球 > 好酸球 >リンパ球 > 好塩基球 |
顆粒球の寿命は、比較的短く、血液中に4~8時間、組織に出て4~5日間は存在しているが、感染が起こると、それによって自分自身も破壊されるので、その寿命は数時間と推定されている。
あとがき
顆粒球は、白血球の一種であり、要は体内の免疫機能に重要な役割を果たす細胞である。顆粒球は、機能と役割の観点から3つの主要な種類に分類されている。
- 好中球
- 細菌や真菌に対する感染防御の最前線で活躍
- 異物を貪食し、消化酵素で分解する
- 体内で最も多い白血球で、急性炎症反応において重要
- 好酸球
- 寄生虫感染やアレルギー反応に関与
- 寄生虫を攻撃し、アレルギー反応を調整する
- アレルギーや喘息の症状に対する免疫反応で重要な役割を果たしている
- 好塩基球
- ヒスタミンを放出し、アレルギー反応や炎症を引き起こす
- アレルギー反応や炎症反応を促進し、免疫系の調整役を果たす
これらの顆粒球は、感染症やアレルギー反応から体を守るためにそれぞれ異なる役割を担っている。特に好中球は、体内で最も多く存在する白血球であり、感染防御の最前線で重要な役割を果たしていると言える。
【参考資料】
国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センターHP |
看護roo! HP |