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筋強直性筋ジストロフィーとは?原因と症状は?治療

はじめに

筋強直性筋ジストロフィーは、筋ジストロフィーの一種である。筋強直性筋ジストロフィーは、筋ジストロフィーの中では特異な特徴を持つことが知られている。他の筋ジストロフィーと異なる主な特徴は次のようなものである。

  • 筋強直現象(ミオトニー)
    • 筋肉が収縮するとすぐに緩めることができない
    • 手を強く握った後、すぐに開くことが難しくなる
  • 全身疾患
    • 筋肉の症状だけでなく、全身にさまざまな合併症を併発
      • 白内障、不整脈、呼吸障害
      • 糖尿病、高次機能障害、消化器症状
      • 良性腫瘍、悪性腫瘍など
  • 遺伝子異常
    • 合成されるタンパク質自体には異常がない
    • 遺伝子情報のコピーを運ぶRNAに異常がある
  • 発症年齢
    • あらゆる年代で発症するリスクがある
    • 20〜30代の発症がもっとも多い
    • 発症した時期によって症状が異なる
      • 先天型
      • 幼(若)年型
      • 成人型
      • 遅延発症型

筋強直性筋ジストロフィーの有病率は、日本では人口10万人あたり約5~7人と推定されている。

目次
はじめに
筋強直性筋ジストロフィーとは
原因
症状
検査・診断
治療
あとがき

筋強直性筋ジストロフィーとは

筋強直性筋ジストロフィーは、筋肉が徐々に破壊され、運動障害が引き起こされる筋ジストロフィーの一種である。原因は、遺伝子変異で、筋肉を作る働きをもつ遺伝子の異常とされる。筋肉が収縮するとすぐに緩めることができない筋強直現象(ミオトニー)が特徴的である。

症状は、筋肉が収縮するとすぐに緩めることができない筋強直現象(ミオトニー)と、進行性の筋力低下・筋萎縮(筋ジストロフィー)である。また、不整脈、認知機能障害、白内障、内分泌機能異常など、多彩な合併症が知られている。


原因

筋ジストロフィーは、筋肉の機能に関与している遺伝子の異常によって発生し、小児期や青年期に筋力低下を引き起こす。男児に発生する場合がほとんどである。

筋強直性ジストロフィーは、一般集団の約8000人当たり1人に発症すると言われている。遺伝形式は常染色体優性であり、その浸透率は様々である。この異常の原因は2つの遺伝子座位(DM 1およびDM 2)にある。

DM1の突然変異を有する母親およびまれに父親からは、先天性筋強直性ジストロフィーという重症型の筋強直を有する子が生まれる可能性がある。本病型は、重度の筋緊張低下(筋緊張低下児)、哺乳困難、呼吸困難、骨格変形、顔面筋力低下、および精神運動発達遅滞を特徴とする。通常、呼吸不全およびおそらく心筋症のため、最大で罹患乳児の40%が生存しない。生存者の最大60%に知的障害がみられる。


病状

筋強直性筋ジストロフィーの症状および徴候は、青年期または成人期早期に発生し始め、筋強直(筋収縮後の弛緩の遅れ)、四肢遠位筋(特に手)と顔面筋(特に眼瞼下垂が多い)の筋力低下および筋萎縮、心筋症などがある。

また知的障害、白内障、および内分泌疾患も起こることがある。

呼吸器疾患および心疾患が最も頻度の高い死因であり、若年で不整脈および重度の筋力低下が発生した患者は若年死のリスクが高い。平均死亡年齢は54歳である。


検査・診断

検査としては、血液検査、針筋電図、遺伝子検査などが行われる。筋肉に針をさして、電気の流れを調べる針筋電図や、血液を使って、遺伝子に異常がないか調べる遺伝子検査が行われる。

診断は、特徴的臨床所見、発症年齢、および家族歴から示唆され、DNA検査によって確定される。


治療

現在の医療技術では、筋強直性筋ジストロフィーの根治療法はなく、リハビリテーションなどで病気の進行を遅らせることが主たる治療となる。

筋力低下が比較的軽度である場合が多いので、関節拘縮に対して腱延長術が適応となる場合がある。また、適応があればペースメーカーや埋め込み型除細動器の装着を行うこともある。

膜安定化薬のメキシレチンは、機能を制限する筋強直がある筋強直性ジストロフィー患者に対する第1選択薬となっている。

メキシレチンは、基礎疾患として心室性不整脈のある患者に対しまれに不整脈を誘発することがあるため、2度または3度の房室ブロック患者には禁忌である。

メキシレチン療法開始前には心臓専門医へのコンサルテーションが推奨され、特に心電図異常のある患者では推奨される。

しかし、通常患者の機能を障害するのは筋強直ではなく、治療法のない筋力低下であり、疾患の進行に伴い、下垂足に対する装具が通常必要となる。


あとがき

筋強直性筋ジストロフィーの治療法の研究開発については、興味深い情報がある。それは、山口大学大阪大学の研究グループによる研究である。

この研究グループは、筋強直性筋ジストロフィーのスプライシング異常を改善する可能性を持つ薬剤として、エリスロマイシンを見つけたという。エリスロマイシンは14員環マクロライド系の抗生物質である。

この研究グループは、エリスロマイシンの安全性と有効性を検証するために、医師主導の第二相治験を実施し、治験の結果、筋強直性筋ジストロフィーに対するエリスロマイシン治療の安全性を確認し、病態に直結するスプライシング異常を改善する有効性を世界で初めて示したらしい。

エリスロマイシンが世界初の筋強直性筋ジストロフィー治療薬として開発される可能性があり、今後の治療結果が期待される。

筋強直性ジストロフィーに対する世界初の根本的治療薬開発 ~医師主導第二相治験により有効性を支持する成果~ | 国立大学法人 山口大学 (yamaguchi-u.ac.jp)

【参考情報】
MSDマニュアル 家庭版・プロフェッショナル版
筋強直性ジストロフィーに対する世界初の根本的治療薬開発 ~医師主導第二相治験により有効性を支持する成果~ | 国立大学法人 山口大学

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