はじめに
歩くと脚が痛むけど、少し休むと楽になる…、検査では異常がないのに、痛みが続く…、そんな症状に悩んでいる方は、もしかすると筋膜性疼痛症候群(MPS)が関係しているかもしれない。 そしてその痛みは、間欠性跛行【かんけつせいはこう】と似たような症状を引き起こすこともある。
本稿では、見逃されがちな筋膜の痛みと間欠性跛行の関係について取り上げたいと思う。
筋膜性疼痛症候群(MPS)
筋膜性疼痛症候群とは、筋肉や筋膜にできたトリガーポイント(痛みの引き金となる硬結)が原因で、局所的または関連部位に痛みを引き起こす状態を指す。
主な特徴:
- 筋肉の一部がしこりのように硬くなる
- 押すと痛みが広がる(関連痛)
- 動かすと痛みが強くなる
- 画像検査では異常が見つかりにくい
間欠性跛行とは?
間欠性跛行は、一定距離を歩くと脚に痛みやしびれが出て、休むと回復するという症状である。 主な原因としては以下の2つが指摘されることが多い:
- 血管性:
- 動脈硬化などによる血流不足
- 神経性:
- 脊柱管狭窄症などによる神経圧迫
どちらも「歩くと痛い、休むと楽になる」という共通点がある。
MPSと間欠性跛行との関係
筋膜性疼痛症候群(MPS)と間欠性跛行の意外な関係を以下に述べる。
一見まったく別の疾患に思えるMPSと間欠性跛行であるが、実は症状が似ているために混同されやすい。
共通点:
- 歩行時に痛みが出る
- 休憩で一時的に症状が軽減する
- 画像検査で明確な異常が見つからないこともある
関係性のポイント:
- MPSによる筋膜の緊張やトリガーポイントが、神経や血管を間接的に圧迫することがある
- 筋膜の痛みが、間欠性跛行のような歩行困難を引き起こすことがある
- 逆に、間欠性跛行による異常歩行が、筋膜に負担をかけてMPSを誘発することもある
つまり、MPSが間欠性跛行のような症状を引き起こすこともあれば、その逆もあるというわけである。
見分けるためのヒント
- 痛みの性質
- MPS:局所的で関連痛あり
- 間欠性跛行(神経性):しびれや脱力感を伴うことも
- 姿勢との関係
- MPS:特定の動作や圧迫で悪化
- 間欠性跛行(神経性):前かがみで楽になることが多い
- 画像検査
- MPS:異常なしが多い
- 間欠性跛行(神経性):脊柱管狭窄などが見られることも
- 触診
- MPS:トリガーポイントで圧痛
- 間欠性跛行(神経性):明確な圧痛点は少ない
対処法とセルフケアの要点
MPSの場合:
- トリガーポイントへのアプローチ(マッサージ、鍼、ストレッチ)
- 姿勢改善と筋膜リリース
- ストレス管理や睡眠の質向上も大切
間欠性跛行(神経性)の場合:
- リハビリや薬物療法
- 重症例では手術も検討
- 歩行訓練や体幹強化も有効
あとがき
痛みの“正体”を見極めよう!
歩行時の痛みやしびれは、単なる疲労や加齢のせいと見過ごされがちであるが、筋膜性疼痛症候群(MPS)のような見えにくい原因が潜んでいることもある。
また、間欠性跛行との症状の重なりにより、診断が難しくなるケースもある。
だからこそ、正確な評価と多角的な視点が大切である。 気になる症状があるときは、早めに専門医や理学療法士に相談することをおすすめしたい。
私たちシニア世代の「歩く力」、取り戻せるかもしれません。