はじめに
「無知は罪である」という名言は、古代ギリシアの哲学者・ソクラテスの言葉として有名である。ソクラテス自身は一切の著述を残さなかったようで、彼の言葉は弟子のプラトンやクセノポンなどが記録したものを通じて伝えられている。
「無知は罪である」という名言は、ソクラテスの教えの一部で、その真意は「自分が何を知らないかを自覚することの重要性」を指しているとされる。つまり、ソクラテスは「無知の自覚」あるいは「不知の自覚」の概念を通じて、人々が自分が何を知らないかを理解し、それを認識することの重要性を強調したかったようだ。ソクラテスは、自分が何を知らないかを理解することが、真の知識と賢さへの第一歩であると考えていたと伝わっている。
さらに、無知を取り繕うような無責任な発言を行い、その結果が悪いものであると、今度は隠蔽しようとして嘘を重ね、さらに悪い結果を導き出すことを指すとも解釈されている。
したがって、「無知は罪である」という名言は、自己の無知を認識せずに、それを克服するための努力を怠ることが「罪」であるというに現在では理解されている。
さて、私が何を言いたいかというと、生活習慣病と呼ばれる疾病のなかにも私たちの無知によって発症し、私たちの健康的な生活を奪い、「罪」とは言わないまでも私たちの日常生活を害しめているものがあるのではないかということである。
私自身も生活習慣病について、しっかりと理解し、生活習慣を改善する努力をし、寿命が尽きるまで一日でも長く健康的に生きていたいと思う。
生活習慣病とは
生活習慣病とは、食事や運動、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が深く関与し、それらが発症の要因となる疾患の総称である。
生活習慣病の主な原因には下記のようなものが指摘されている。
- 食事(食べ過ぎ、塩分の過剰摂取、食物繊維の不足など)
- 運動(運動不足)
- 休養(睡眠不足、ストレス)
- 喫煙(タバコの煙に含まれる有害物質)
- 飲酒(過度のアルコール摂取)
まさに「生活習慣病」とはよく言ったもので、発症の原因が現代社会に生きる私たち生活習慣に係わったものばかりである。
だから言い換えれば、生活習慣病の予防は、上述のような「生活習慣」を改善し、健康的な食事、適度な運動、十分な休養、禁煙や適度な飲酒(できれば禁酒や節酒)などを継続すれば良いということになる。
また、生活習慣病は早期発見が重要であり、定期的に健康診断を受け、早めに治療や予防対策を採ることも推奨される。
どんな疾病が該当するのか
生活習慣病に該当するのは、下記のような疾病である。
- 高血圧症
- 脳血管疾患
- 心疾患
- 動脈硬化症
- 脂質異常症
- 2型糖尿病
- 慢性腎臓病(CKD)
- 高尿酸血症/痛風
- 肥満症/メタボリックシンドローム
- 脂肪肝/非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)
- 非アルコール性肝炎(NASH)
- アルコール性肝炎
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD・肺気腫・慢性気管支炎)
- 肺がん
- 大腸がん
- 胃がん
- 肝臓がん
- 膵臓がん
- 頭頸部がん(口腔がん・咽頭がん・喉頭がん)
- 食道がん
- 乳がん
- 子宮がん
- 歯周病
実に多くの疾病が生活習慣病に含まれていることに驚く。特に、日本人の死因の上位を占めている、がんや心臓病、脳卒中が「生活習慣病」に含まれているのには率直に驚いた。
そして、生活習慣が原因となる可能性のある「がん」の種類の多さにも驚かざるを得ない。
肺がんにおいては、喫煙は肺がんの最大の危険因子で、喫煙者は非喫煙者に比べて肺がんの発生リスクが男性で4.8倍、女性で3.9倍に増加すると言われている。また、受動喫煙でも肺がんのリスクは高まるとされる。
大腸がんにおいては、赤肉や加工肉の摂取、野菜不足、肥満、運動不足などが大腸がんのリスクを高めるとされている。また、飲酒も大腸がんのリスクを高めるらしい。
胃がんにおいては、塩分の摂取過多や野菜不足は胃がんのリスクを高めるとされている。喫煙も胃がんのリスクを高めるらしい。
肝臓がんにおいては、肥満や飲酒は肝臓がんのリスクを高めるとされている。
膵臓がんにおいては、肥満は膵臓がんのリスクを高めるとされている。
口腔がん・咽頭がん・喉頭がん・食道がんなどにおいては、喫煙と飲酒の影響が大きく、特に喫煙と飲酒を同時に行っている人は食道がんをはじめとするがん全体の発症リスクが高まると指摘されている。
乳がんにおいては、運動不足や肥満は乳がんのリスクを高めるとされている。また、飲酒により乳がんのリスクが高まるという報告もあるようだ。
子宮がんにおいては、運動不足や肥満は子宮がんのリスクを高めるとされている。
このように見てくると、食事・喫煙・飲酒・運動不足・肥満の5要因に注目して生活改善を実施すべきであることが容易に理解できる。生活習慣病の予防のための生活習慣の改善については、事項で考えていこう。
生活習慣の改善とは
生活習慣病の予防や健康維持には、健康的な食事、適度な運動、十分な休養、禁煙、適度な飲酒(できれば禁酒・節酒)などが重要であるとされる。
まず、体重過多(太りすぎ)である場合には、適切なダイエットで適正体重(標準体重)に戻すことに努めよう。つまり「肥満の解消」から取り組む。その上で、生活習慣を改善していくのが理想的である。
生活習慣の改善方法では、下記のようなものが推奨されている。
- 適度な運動(毎日10分以上の運動)
- 禁煙
- 食事(塩分の摂り過ぎに注意する)
- 食事(脂質の摂り過ぎに注意する)
- 食事(肉類よりも魚の摂取を推奨)
- 食事(野菜に含まれる食物繊維の摂取)
- 飲酒(飲み過ぎに注意)
- 歯の健康(毎食後の丁寧なブラッシング)
- ストレス(自分に合ったリラックス方法で早めに解消)
- 睡眠(夜更かし厳禁、規則正しい睡眠を!)
あとがき
現代社会の特徴として良くない生活習慣やストレスが原因の一つに挙げられる疾患は結構多いことが分かってきている。生活習慣病に数えられるような疾病は、その代表的なものと言えよう。
生活習慣病とは、食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群のことを指している用語であり、かなり世間にも周知されてきた医学用語でもある。具体的には、肥満、脂質異常症(高脂血症)、高血圧、2型糖尿病、高尿酸血症、歯周病などがよく知られた代表的な生活習慣病である。
生活習慣の改善とストレス耐性の強化は、多くの疾患の予防に役立つ可能性がある。その対象になりそうな疾患について考えてみようとするのが本稿の目的であった。
私たちは、生活習慣病について学び、理解を深めることで、生活習慣を意識的かつ積極的に改善すれば、健康的な生活を送りながらシニア時代を満喫できる可能性が高まるはずである。
生活習慣に気をつけていても疾病に罹患することはある。それでも生活習慣の乱れを改善せずに、生活習慣病に数えられるがんや重篤な病に罹患した場合に比べれば後悔の念は小さいと思う。
【参考資料】
生活習慣病を引き起こす「習慣」とその改善方法は?|オムロン ヘルスケア (omron.co.jp) |
生活習慣改善10カ条 | 健診・保健指導 | 全国健康保険協会 (kyoukaikenpo.or.jp) |
生活習慣の改善方法 | 健康食品・サプリメント通販のハウスダイレクト (house-direct.jp) |