抗体医薬は、抗体(モノクローナル抗体など)の特性を活用した医薬品で、特定の疾患に関連する抗原を標的として作用します。この技術は、がんや自己免疫疾患などの治療が困難な病気に対して非常に有効であるとされています。現在、世界の医薬品売上高トップ10の大半は抗体医薬で占められています。
抗体医薬の特徴
- 高い特異性
- 抗体医薬は特定の抗原にのみ結合するため、標的細胞に対して選択的に作用する
- 副作用が比較的少なく、安全性が高い治療が可能となる
- 作用機序
- 中和作用
- 抗原と結合して病原体を無力化する
- 抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)
- 免疫細胞を活性化して標的細胞を破壊する
- 中和作用
- 製造方法
- 遺伝子工学を用いて製造され、CHOなどの動物細胞や大腸菌などの微生物を培養して抗体を生成させる
抗体医薬の応用例
- がん治療
- がん細胞を特異的に攻撃することで治療効果を発揮する
- 自己免疫疾患
- 関節リウマチや炎症性疾患の治療に使用される
抗体医薬は、従来の低分子医薬品とは異なり、分子量が大きく、経口投与ができないため、主に注射剤として製剤開発される場合がほとんどである。
次世代型の抗体医薬として、抗体薬物複合体(ADC)や二重特異性抗体(バイスペシフィック抗体)の開発が進められており、すでに実用化され、市販されている抗体医薬品も存在する。