高齢者用製剤は、加齢による身体機能の変化や併存疾患を考慮して設計された医薬品を指します。高齢者は薬物動態や薬物反応性が若年者と異なるため、特別な配慮が必要となります。
高齢者用製剤の特徴
- 服用のしやすさ
- 嚥下機能が低下している場合に対応するため、口腔内崩壊錠(OD錠)や液剤が使用されることがある
- 錠剤のサイズや形状を工夫し、飲み込みやすくする設計がされている
- 用量の調整
- 腎機能や肝機能が低下している高齢者に合わせて、薬物の用量を調整する必要がある
- 徐放性製剤を使用することで、薬物の血中濃度を一定に保ち、副作用のリスクを軽減させる
- 多剤併用への対応
- 高齢者は複数の疾患を抱えることが多いため、薬物相互作用を最小限に抑える設計が重要である
- 多剤併用(ポリファーマシー)による有害事象を防ぐための工夫が求められる
高齢者用製剤の課題
- 副作用のリスク
- 加齢に伴う薬物代謝の変化により、副作用が発生しやすくなる
- 服薬アドヒアランスの向上
- 高齢者が薬を正しく服用できるよう、服薬支援が必要
最近の進展としては、高齢者用製剤においても、薬物の吸収性や安定性を向上させるためにナノ技術(ナノテクノロジー)が利用されている傾向が見受けられます。
また、国際的な取り組みとして、高齢者の薬物療法を改善するためのガイドラインが各国で策定されているようです。