DDS

DDS(Drug Delivery System)は、「ドラッグデリバリーシステム」または「薬物送達システム」とも呼ばれ、薬剤の有効成分を特定の部位に効率的に届けるための技術です。このDDS技術は、薬の効果を最大化し、副作用を最小限に抑えることを目的としています。

DDSの主な特徴

  • 放出制御(Controlled Release; CR)
    • 有効成分の放出速度を調節すること(徐放性の付与)で、血中濃度を一定に保ち、投与回数を減らすことができる
  • 標的部位への送達
    • 有効成分を疾患部位に直接届けることで治療効果を高める
    • 例えば、抗がん剤をがん細胞に集中させることで、正常な細胞への影響を減らす
  • 副作用の軽減
    • 必要な部位だけに薬が作用するため、全身への影響を抑えられる

DDSの応用例

  • 抗がん剤
    • がん細胞に特異的に作用する薬剤の開発
  • ナノテクノロジーの応用
    • ナノ粒子をDDSキャリアとして利用し、薬剤を目標とする臓器の組織へ運搬する
  • 経皮吸収型製剤
    • 貼付剤を用いて有効成分を皮膚から吸収させる技術

DDSは、患者のQOL(生活の質)を向上させるだけでなく、新薬開発の効率化や既存薬の改良にも寄与しています。

DDSに関連する私のブログ記事を集めました。決して損はさせませんので、是非お読みください。

CONTENTS

ドラッグデリバリーシステム概論;経口固形製剤のDDS開発を事例にDDS医薬品開発の概念を理解する
浸透圧ポンプ(OROS)で製剤開発された経口投与型DDSの市販製剤
バイオアベイラビリティに影響を及ぼす生理的要因
経口投与製剤の放出制御 Controlled Release (CR)
親水性ゲルマトリックス型徐放錠(モノリシック型):ミラペックスLA錠(プラミペキソール)
親水性ゲルマトリックス型徐放錠(有核錠型):アダラートCR錠(ニフェジピン)の製剤設計
スパンタブ型徐放錠:シプロXR錠(シプロフロキサシン)の製剤設計
スパンスル型徐放製剤:ペルサンチン- L カプセル(ジピリダモール)
胃内滞留型製剤の Feasibility Study
時限放出型製剤の Feasibility Study
経肺投与用に用いるデバイス(吸入器)の進歩
気管支・肺に適用する薬剤のための吸入器
“Nose-to-Brain”経路を開拓する経鼻投与システム
経鼻投与用デバイス(吸入器)の現状把握
非経口投与製剤(注射剤)における徐放化技術
リポソームについて学ぶ!
診断や新規治療法の開発に期待がかかるエクソソーム