カテゴリー
Bioavailability DDS Inhaler

気管支・肺に適用する薬剤のための吸入器

吸入器の種類

薬剤を気管支や肺に送達させるため使用するのが「吸入器」と呼ばれる器具ですが、この吸入器の種類には大別して次の4種類が知られています。

ネブライザー

ネブライザーは、薬液を細かい霧状にすることができる吸入器で、薬剤を呼吸と一緒に気管や肺、鼻腔・副鼻腔へ送り込むことができます。薬液を細かい霧状にする方法としては、ジェット式超音波式およびメッシュ式の3種類が知られています。

ネブライザーの長所は、普通の呼吸で吸入ができるので、乳幼児にも使用可能です。また、確実に吸入できます。さらに薬液量の調整が容易であるという長所があります。

一方、ネブライザーは、吸入装置が一般的に大型であり,高価であるので一般家庭で使用するというよりは医療機関での使用がメインになります。さらに,使用するのに時間がかかる,使用できる薬剤の種類が限定される,電源のあるところでしか使用できないなどの短所があります。患者さんの中には騒音も気になる方がいるかも知れません。


加圧噴霧式定量吸入器

加圧噴霧式定量吸入器(pMDIpressurized Metered Dose Inhaler)は、ガスの圧力で薬剤を噴射させる吸入器です。吸入するときは、薬剤の噴射と薬剤を吸い込むタイミングを合わせなければなりません。

pMDIで薬剤の噴射と薬剤を吸い込むタイミングを合わせることが難しい場合には、確実に吸入するための補助具としてスペーサーを使用できます。スペーサーには、マスクタイプとマウスピースタイプがあります。

pMDIは、吸入器のボタンを指で押して操作しますが、指の力が不十分な場合は十分に操作ができません。指の力が弱い患者用として作られた補助器具を使うと、弱い力でも楽に操作できるようになります。

上述のようなpMDIの弱点を改善した第二世代のpMDIも開発されているようです。


ドライパウダー定量吸入器

ドライパウダー定量吸入器(DPIDry Powder Inhaler)は、粉末薬剤を自分で吸い込むタイプの吸入器です。現在、多くのDPIが市販されています。


ソフトミスト定量吸入器

ソフトミスト定量吸入器(SMISoft Mist Inhaler)は、噴射ガスを使わずに薬液をやわらかく細かい霧を生成し、かつ、ゆっくりと噴霧させることができる吸入器です。


市販されている吸入器

様々な吸入器が市販されていますが(下図参照)、そのほとんどがDPIに分類される製品です。SMIに分類されるのは、現状ではレスピマットだけのようです。第二世代のpMDIを採用した医薬品は、国内ではまだ販売されていないようです(2021年3月7日)。

第二世代 pMDIに分類される吸入器

オートヘイラーAutohaler);Breath-Actuated Inhaler(BAI
(主な製品)調査中

DPIに分類される吸入器

タービュヘイラーTurbuhaler
(主な製品)シムビコート、パルミコート、オーキシス
ディスカスDiskus
(主な製品)アドエア、フルタイド、セレベント
ツイストヘーラーTwisthaler
(主な製品)アズマネックス
ブリーズヘイラーBreezhaler
(主な製品)
オンブレス、シーブリ、ウルティブロ、エナジア、アテキュラ
ハンディヘラーHandihaler
(主な製品)スピリーバ
エリプタEllipta
(主な製品)レルベア、アニュイティ、エンクラッセ、アノーロ
ディスクヘラーDiskhaler
(主な製品)フルタイド、セレベント、リレンザ
スイングヘラーSwinghaler
(主な製品)メプチン
フレクサーラーFlexhaler
(主な製品)調査中
ネオハラーNeohaler
(主な製品)調査中
プレスエアPressair
(主な製品)調査中
ロタヘイラーRotahaler
(主な製品)調査中
レスティスクリックRespiClick
(主な製品)調査中

SMIに分類される吸入器

レスピマットRespimat
(主な製品)スピリーバ、スピオルト