モダリティ(modality)とは、医薬品の物質的な種別(カテゴリー)を指す。具体的には医薬品としての低分子化合物や抗体医薬、核酸医薬、再生・細胞医薬、遺伝子治療などのことである。
では、新規モダリティ(New modality)は何かと言うと、医薬品業界における定義は、「まだ一般的に使用されていない医薬品」や「使用され始めている新しい医薬品」とされている。
例えば中分子化合物であるペプチド医薬、アンチセンスやsiRNAなどの核酸医薬、mRNA、再生・細胞医薬などが相当する。
製剤技術に携わった経験のある私の目にはモダリティの定義が、「物質」から「手段」に移りつつあるように見える。
従来から研究されてきたDDS(drug delivery system)をさらに発展させ、siRNAやmRNAのキャリアとして実装すれば、それが新規モダリティと呼ばれるようになる。
例えば、研究の歴史が長いリポソームやLipid nanoparticles (LNP)、高分子ミセルなどがsiRNAやmRNAのキャリアとして実装化に向けて研究され、一部は開発されて、市販もされている。
昔から研究され、今なお研究課題として残っている課題として、脳内や膵臓組織への薬物送達(ターゲティング)技術がある。
この難しいターゲティングを克服するDDSの実装化も新規モダリティと呼んでよいと私は思う。