はじめに
リポソーム製剤の凍結乾燥は、リポソームの長期保存性や再懸濁性を向上させるために有効であるが、その過程でいろいろな技術的課題が生じ、さまざまな対策が求められている。本稿では、リポソーム製剤の凍結乾燥における技術的課題と対策について一緒に学んでいきたいと思う。
<目次> はじめに リポソーム製剤に凍結乾燥が必要な理由 凍結乾燥の技術的課題と現状 凍結乾燥における具体的な技術的課題 凍結工程での物理的ダメージ 乾燥工程中の構造変化 再懸濁性の低下 薬物の安定性および漏出 一般的な対策と技術的方法 リポソーム製剤処方の改善 凍結保護剤および乾燥保護剤の添加 凍結条件の最適化 乾燥工程のパラメータ調整 凍結乾燥工程中に考慮すべき重要な点 凍結乾燥工程での損傷リスク対策 あとがき |
リポソーム製剤に凍結乾燥が必要な理由
この数十年の間、リポソームは生体膜との構造の類似性から人工細胞のモデルから非常に魅力的な薬物送達システムへと進化してきた。良好な生体適合性並びに親水性薬物および疎水性薬物の両方を封入する能力( 親水性薬物は水相コア内に、疎水性薬物は二層膜内に封入)があることから、医薬品分野での使用が活発に研究されている。
リポソーム製剤の開発における課題は、脂質の酸化及び/又は加水分解、封入薬物の漏れ、凝集体形成などの現象に関連した安定性の問題であることが多い。この安定性の問題は、リポソーム製剤の品質の問題であり、in vivoでの生体分布の変化にも影響を及ぼすので医薬品としての有効性と安全性の問題としても重要である。
リポソーム製剤の安定化が製剤処方(例えば、飽和及び/又は高遷移相脂質の使用、抗酸化剤の添加、帯電及び官能化された粒子の設計など)や保存条件(例えば、–20 ◦Cで保存)で十分でない場合、安定性の問題を克服する唯一の選択肢は凍結乾燥となる。
凍結乾燥の技術的課題と現状
凍結乾燥の技術的課題は、凍結と脱水による応力からリポソームの二重層膜の完全性を保護するための賦形剤とプロセスパラメータの選択が容易ではなく、プロセスの複雑さに起因するものである。実際、リポソームは水を含み、水の存在下で自然に集合し、その除去は、重要な構造変化、時には取り返しのつかない構造変化を引き起こす。 凍結と脱水による応力がリポソーム内に封入した薬物の漏れを引き起こし、リポソーム製剤を不安定にするため、凍結乾燥のプロセス条件の最適化は最重要課題と言える。
しかしながら、この分野での数十年に渡る研究においても、凍結乾燥リポソーム製剤の設計と開発を容易にするための指針(ガイドライン/ガイダンス)は存在せず、「親指の法則」(Rule of Thumb)すら提案できない状態である[1]。 その理由は、 凍結保護剤の種類や保護剤の位置(リポソームの内相や外相)の問題、そして重要プロセスパラメータの特定だけでなく、乾燥状態でのリポソームを安定化させる(凍結乾燥の成功を決定する)二層構造と変数の間には複雑な関係が存在し、普遍的な法則が得られていないためである[1]。
主要な規制当局(FDA, EMA, PMDA)がリポソーム製品の開発に関して発行した現行のガイドライン[2, 3, 4]は、凍結乾燥製品の品質を特徴付けるツールについては言及していないが、凍結乾燥はリポソームの長期安定性を確保するための有望なアプローチであることには変わりはない。したがって、現状では個々のリポソーム製剤の凍結乾燥について プロセスパラメータを最適化し、凍結乾燥リポソームの品質管理に必要なノウハウを蓄積するしかない。
凍結乾燥における具体的な技術的課題
医薬品にとって安定性というのは重要な品質特性である。特に物理化学的安定性が良いとは言えないリポソームを医薬品製剤として実用化するためには、その物理化学的安定化が必要不可欠である。リポソームの安定性を改善するための方法として凍結乾燥が従来から利用されているが、現在でもその凍結乾燥の方法が確立しているとは言い難い状況である。このことは、市販の凍結乾燥製剤の例が非常に限られていることからも容易に察せられる。
凍結工程での物理的ダメージ
氷結晶の影響
凍結時に形成される氷結晶は、リポソームの膜を物理的に破壊したり、膜同士の融合や液中での薬物漏出を引き起こす可能性がある。特に緩慢な凍結では大きな氷結晶が生成されやすく、リポソーム構造の均一性やサイズ分布に悪影響を及ぼす。
乾燥工程中の構造変化
膜収縮・融合
一次乾燥および二次乾燥工程において、残留水分の除去とともにリポソームの膜が縮み、融合や変形を起こすリスクがある。この場合、元の粒子サイズや内部のエンキャプシュレーション効率(薬物保持率)が低下する恐れがある。
再懸濁性の低下
再構成の難しさ
凍結乾燥後の製剤が、容易に元の均一な分散状態に再懸濁されない場合、粒子の凝集や沈降が発生し、臨床的な投与後のバイオアベイラビリティに影響することがある。
薬物の安定性および漏出
薬物の変性
凍結乾燥中の温度・湿度の変動や機械的ストレスにより、リポソーム内に閉じ込められた薬物が分子レベルで変性または一部漏出してしまうリスクがある。
一般的な対策と技術的方法
リポソーム製剤処方の改善
膜成分の最適化
リポソームの脂質組成や界面活性剤、安定化剤の選択により、凍結乾燥工程における構造保持性を向上させることが可能である。例えば、コレステロールの添加は膜の流動性を低下させ、融解や融合を防ぐ効果が報告されている。
薬物の封入方法
薬物がリポソーム内に適切に閉じ込められるよう、事前の製剤設計時にリポソーム内への封入効率を最大化する方法を検討する。
例えば、凝固点より高い相転移温度を有する脂質を、リポソーム構成成分中の主要脂質として選択することは、リポソーム中への疎水性薬剤の有効かつ安定した状態で封入することに繋がると共に上手く凍結乾燥させることができるとされる。
脂質相転移温度に影響を与える要因
- pH
- 緩衝液
- イオン強度
- 薬物(有効成分)の種類と量
- 組成比(脂質の種類と添加量)
凍結保護剤および乾燥保護剤の添加
糖類(トレハロース、スクロースなど)の利用
これらの保護剤は、凍結時にリポソーム膜に対して一層のガラス状マトリックスを形成し、膜構造を物理的・化学的に安定化させる。特にトレハロースは、膜脂質との相互作用により、乾燥後の再構成性の向上にも寄与する。
最適な添加量の検討
保護剤の濃度や組み合わせは、リポソームの組成(脂質の種類や比率、内部液の性質)に依存するため、各製剤ごとに最適化する必要がある。
凍結条件の最適化
急速凍結
急速凍結を採用することで、氷結晶のサイズを小さくし、リポソームの膜に対するダメージを抑えることができる。例えば、液体窒素やプレクライオスタットを用いて短時間で低温に到達させる方法が有効である。
凍結中の温度制御
製剤全体の温度勾配を均一に保つことで、局所的な過冷却や大きな氷結晶の形成を回避する。
乾燥工程のパラメータ調整
一次乾燥および二次乾燥の温度・圧力
低温・低圧条件下でゆっくりと水分を除去するプロセスを設定することで、リポソームへの熱的・機械的負荷を最小限に抑え、膜の収縮や変形を防止する。
乾燥サイクルの最適化
プロセス開発段階で、サンプルの水分含有量、ガラス転移温度(Tg)およびリポソームの物理的安定性をモニタリングしながら最適なサイクルを設計することが重要である。
凍結乾燥工程中に考慮すべき重要な点
凍結乾燥のプロセスが行われる条件によって凍結乾燥製品の品質が左右される。凍結乾燥処理中に考慮すべき重要な点を各工程ごとにみていきたい。
凍結
放熱で基礎製品を変化させ、昇華乾燥に適した状態にする工程である。水に溶けた製品が冷却されると結晶核が形成される。周囲の水が核形成の周りから吸収され、サイズと形状が異なる結晶が形成される。
凍結速度、基礎製品の成分、水分含有量、液体の粘度および非結晶化物質の有無すべてが結晶の形状とサイズを左右し、その後の昇華処理に影響を与える決定要因である。
大きな結晶は昇華後に比較的開かれた格子で構成される一方で、小さい氷晶は乾燥製品中に小さな空間が含まれ、水蒸気の除去速度を遅らせる。
純水の氷点は 0°C であるが、水に何か他の物質が溶解しているとこの氷点は低くなる。これを凝固点降下と呼ぶ。
無機塩類が溶解している場合、氷点は顕著に低下する。希釈液が凍結すると最初に純氷が分離するため、残留溶液中に溶解した物質の濃度が上昇し、氷点はさらに下がる。この被凍結乾燥品の濃度による氷点への影響は、最も適した凍結技術を選択する上で考慮する必要がある。
適切な凍結技術を用いることで昇華に適した凍結製品、つまり可能な限り薄くて均一な凍結製品が最短の乾燥時間で得られる。
一次乾燥
一次乾燥段階の開始時に製品表面で氷昇華が行われる。このプロセスが進行するにつれて昇華表面が製品に吸収され、その結果生じる蒸気は先に乾燥した外層を通して行われる必要がある。
これは、乾燥処理が蒸気の移動速度と除去速度のほかに、昇華に必要な熱に依存していることを示している。昇華に必要な熱は対流および熱伝導と、より少ない度合いで熱放射から供給される。
伝熱と熱放射による熱伝導とは別に、対流による熱伝導を最適化する必要がある。ただし対流は圧力が 10-2 mbar 未満になるとほとんど停止するので注意が必要である。
必要な昇華温度の機能として、一次乾燥中に乾燥チャンバー内の圧力が許容最高値に調整されるのはこのためである。昇華熱は製品表面では必要ないが、乾燥が進むと製品の中心に吸収される氷コアの境界線で必要になる。
水蒸気が製品内から製品外に移動する一方で熱伝導は逆の方向に移動する必要がある。乾燥製品層の熱伝導率は低いため、熱伝導に必要な温度勾配は着実に上昇する。製品への損傷を回避するため、乾燥製品の最高許容温度を超過しないことが重要である。
同時に、乾燥プロセス全体を通して必要な昇華温度を維持し、氷コアの境界線への熱供給を平衡状態で保ち、昇華ゾーンが過熱されないよう留意する必要がある。一次乾燥段階は製品中のすべての氷が昇華されるまで継続する。
二次乾燥
二次乾燥または最終乾燥段階では残留含水量を最小限まで減らして、製品を恒久的に貯蔵できる状態を確保する。
製品の内部表面で吸収される水分は取り除く必要がある。これを行うためには多くの場合で水の毛細管力を克服する必要がある。
このことからも、凍結乾燥は二次乾燥の段階で高い圧力勾配が生じるように設計する必要があるが、 ほとんどの場合、製品に損傷を与えずに温度を上昇させることは不可能である。二次乾燥のプロセスは製品が過度に乾燥されないよう正確に制御する必要がある。
乾燥製品は、吸湿性が高いことが多い。そのため、乾燥後の後処理が重要となる。製品を瓶、フラスコ、またはバイアルで乾燥させる場合、凍結乾燥機から取り出す前にこれらのコンテナを乾燥後すぐに閉じることが現実的かつ有効である。
この目的で、コンテナとして特殊リブ加工のゴムストッパーを瓶またはバイアルのネックに取り付けておき、乾燥後に停止デバイスでネックにしっかりと押し込む。コンテナは、真空状態または保護ガス雰囲気下で密閉できる。凍結乾燥プロセスの終了時に乾燥窒素または不活性ガスで乾燥チャンバーを(常圧まで) ガス抜きすることが推奨される。ガス抜きに高湿分の空気を使用しないことがポイントとなる。
凍結乾燥工程での損傷リスク対策
凍結乾燥の凍結工程においてリポソームが損傷を受け、その後のリポソームの安定性に支障が生じることがある。それを防ぐためには二糖類などの適切な凍結保護剤が使用される。また、一次乾燥工程中にもリポソームが破損し、封入薬物が漏出することも知られている。
このような凍結乾燥工程中でのリポソームの損傷・破損を防ぐために、リポソームの二層膜の内側と外側の両方にトレハロースやスクロースなどの二糖類を適切量加えると良いことが報告され、実践されてきた。
しかしながら、リポソーム溶液に二糖類を添加すれば凍結乾燥の問題がすべて解決できるというものでは勿論ない。リポソームの組成(例えば、脂質の種類や組成比など)や凍結乾燥の操作条件(例えば、凍結速度や減圧度など)の最適化が必要であることは言うまでもない。
しかし、上述したとおり、この最適化の方法は未だ一般原則が確立していないところが(正確に言えば、公知になっていないので)、リポソームの凍結乾燥が容易でない理由と言える。
そこで、まずは凍結乾燥の凍結工程で何が起きているか? 上述した凍結工程での「リポソームの損傷」の具体的な現象について調べてみた。文献等によれば、下記のような現象が凍結工程で引き起こされている。
- 凝集によってリポソームが融合し、粒子径が増大する
- 封入した薬物が露出又は消失する
上記のような現象を回避するために二糖類(トレハロースやスクロース)などの凍結保護剤がリポソーム製剤中に添加される。凍結乾燥中に二糖類が安定化のために作用するメカニズムには、2つの仮説が提案されている。1つは水置換モデルであり、もう1つはガラス化モデルである。
水置換仮説(water replacement hypothesis;水置換モデル)は、二糖類とリン脂質ヘッド群の相互作用が乾燥状態で脂質膜のTm(gel-to-liquid crystalline phase transition temperature; ゲルから液晶への相転移温度)を低下させ、この際に二糖類は水とリン脂質との相互作用を減少させ、その後、水を糖で置換するというものである。分子レベルでの分析研究により、糖と脂質の間の複数の水素結合は、二分子層の表面に形成され、糖は同時に最大3つの異なる脂質と相互作用することができるが分かった。
また、二糖類を添加しても二分子構造は変化せず、二糖類は無水条件下での水の代替品であることが明らかになった。
さらに、凍結保護剤が脂質コリン部分のリン脂質及び/又はメチル基の極性P=O及び/又はC=O基と同時に相互作用する可能性を示した。リン酸塩は、糖が相互作用する二重膜の最も可能性の高い場所である。また、水素結合を介したリン脂質と糖の直接相互作用は、凍結乾燥中に重要な役割を果たす。[5]
凍結保護機構のガラス化モデル(vitrification model)では、糖液が凍結濃縮され、次いで凍結中に安定したガラス状態となり、最終的に凍結乾燥されたケークが水を除去した際に糖ガラスのマトリックスにトラップされる。
高粘度で流動性の低いガラスマトリックスは、リポソームの融合・凝集を防止し、脂質二重膜を氷結晶による損傷から保護することができる。糖ガラスの存在は、脂質相転移に伴う立体構造変化を阻害することもできる。
以上の知見に基づき、ガラスマトリックスは氷結晶による損傷を低減し、リポソームの融着・凝集を防止し、相変化を回避することができると考えられる。
凍結保護機構のガラス化モデルでは、ガラス化による2つの特性が重要な役割を果たしていると考えられている。1つは分子数に関連する浸透圧効果であり、もう1つは分子の大きさ・体積に関連する体積効果である。
この2つの効果は、脂質膜が近接して集合する際の機械的ストレスを軽減する。それは、隣接する二層間の接触を防止するためである。これらの考察は、凍結によって生じる膜内の機械的ストレスが、浸透圧と体積効果による凍結保護剤の添加によって減少する可能性を示唆していた以前の報告とも合致する。
また、リポソーム表面とガラス固体との相互作用により、リポソーム表面張力が低下し、これが乾燥リポソームを安定化させる。[5]
上記の2つのメカニズムが互いに排他的ではなく、両方が凍結乾燥のために必要であることが証明されている[6, 7]。しかし、上記の2つの仮説によってすべての現象が説明できるわけではなく、DSCを用いた研究では、トレハロースを添加すると含水状態と脱水状態の両方でTmが若干上昇することが示された[8]。
また、トレハロースを水に過剰に加えた場合にも同様の効果がTmに及ぼす[9, 10]。そこで、これらの観察を説明するために、コスモトロピック効果(kosmotropic effect)[11]、浸透脱水(osmotic dehydration)などの新しい仮説が提案されている。[5]
残留水分量は、凍結乾燥ケークの品質管理の良い指標である。
一般に、リポソームのESR(encapsulated solute/drug retention;カプセル化された溶質/薬物保持)は凍結乾燥時の残留水分量の低減によって改善される[12]。また、残留水分量は、凍結保護剤のTg(glass transition temperature;ガラス転移温度)に大きな影響を与える[13]。
残留水分量が0.5%及び6.5%の場合、トレハロースのTgがそれぞれ99.7°C及び40.3°Cであった[14]。残留水分量が高いほど糖のTgが低くなることは明らかである。また、残留水分が糖に吸収されるとTgが低下し、ガラス化仮説に従って保護効果が低下または消失することが示唆されている。
残留水分量のESRへの影響は、保存温度に依存する可能性があることにも留意する。ESRは、保存温度がTgに近づくと、残留水分量の影響が顕著となる。[5]
凍結乾燥後のESRは、リポソームの脂質相転移および凝集/融合と密接に関連している。凍結乾燥中に生じたすべての損傷を反映する最も敏感なパラメータであり、その増加は通常、融合/凝集の防止に比例する[15]。
脱水時には、凍結保護剤なしの場合、 リン脂質の相転移温度は上昇する。水和および脱水状態の間のTnの変化は、凍結乾燥および再水和の間に相転移が発生したか否かを決定する。
したがって、このプロセス中の凍結保護剤の保護効果を推定するために、相転移を考慮する必要がある。糖のTgは、ESRを決定する凍結保護効果と相関する。
Tgを決定することでガラス化度合いを見ることができ、T0とTg とを比較することで、このガラス化効果がTnを減少させるのに十分であるかどうかも判断できる。TgとESRの正確な関係を確立することは困難であるが、多くの研究者が共同で、凍結時の保護効果を評価するための指標としてTgを選択している。
あとがき
この凍結乾燥の分野での数十年の研究の後においても、凍結乾燥リポソーム製剤の設計と開発を容易にするために「親指の規則」は提案できない状況は残念ながら変わらない。
保護物質の種類や位置(バルク水やベシクルの内核)の問題やプロセスパラメータの定義だけでなく、乾燥状態でリポソームを安定化させる凍結乾燥の成功を決定する二層構造と変数の間の複雑な関係が存在するからである。
主要な規制機関(FDA、EMA、PMDAを指す)がリポソーム製品の開発に関して発行した現行のガイドラインは、凍結乾燥製品の品質を特徴付けるツールに言及していない。
しかし、多くの努力が凍結乾燥リポソームの剤形を開発するために設計されており、すでに臨床試験でテストされている製品はほとんどないため、凍結乾燥リポソーム製品の品質管理に関する詳細を規定レベルで公開する必要性が緊急に高まっている。
近年のイメージング技術の進歩と再構成された懸濁液に関連する情報との組み合わせは、凍結乾燥のプロセスを最適化するだけでなく、凍結乾燥製剤の品質管理を必要とするノウハウを改善する可能性が秘めている。
【参考文献】
1 | Silvia Franzé, Francesca Selmin, Elena Samaritani, Paola Minghetti and Francesco Cilurzo, “Lyophilization of Liposomal Formulations: Still Necessary, Still Challenging”, Pharmaceutics, 10, 139 (2018) |
2 | U.S. Department of Health and Human Services FDA Center for Drug Evaluation and Research (CDER). Liposome Drug Products Chemistry, Manufacturing, and Controls; Human Pharmacokinetics and Bioavailability; and Labeling Documentation Guidance for Industry. |
3 | Committee for Human Medicinal Products. Reflection Paper on the Data Requirements for Intravenous Liposomal Products Developed with Reference to an Innovator Liposomal Product; EMA/CHMP/ 806058/2009/Rev. 02; European Medicines Agency: London, UK, 2013. |
4 | リポソーム製剤の開発に関するガイドライン 000211460.pdf (pmda.go.jp) |
5 | Chengjun Chen, Dandan Han, Cuifang Cai, Xing Tang, “An overview of liposome lyophilization and its future potential”, Journal of Controlled Release 142 (2010) 299–311 |
6 | L.M. Crowe, D.S. Reid, J.H. Crowe, Is trehalose special for preserving dry biomaterials? Biophys. J. 71 (1996) 2087–2093. |
7 | N.M. Tsvetkova, B.L. Phillips, L.M. Crowe, J.H. Crowe, S.H. Risbud, Effect of sugars on headgroup mobility in freeze-dried dipalmitoylphosphatidylcholine bilayers: solid-state 31P NMR and FTIR studies, Biophys. J. 75 (1998) 2947–2955. |
8 | T.D. Tsvetkov, L.I. Tsonev, N.M. Tsvetkova, R.D. Koynova, B.G. Tenchov, Effect of trehalose on the phase properties of hydrated and lyophilized dipalmitoylphosphatidylcholine multilayers, Cryobiology 26 (1989) 162–169. |
9 | D. Christensen, C. Foged, I. Rosenkrands, H.M. Nielsen, P. Andersen, E.M. Agger, Trehalose preserves DDA/TDB liposomes and their adjuvant effect during freeze–drying, Biochim. Biophys. Acta 1768 (2007) 2120–2129. |
10 | S. Ohtake, C. Schebor, J.J. de Pablo, Effects of trehalose on the phase behavior of DPPC–cholesterol unilamellar vesicles, Biochim. Biophys. Acta 1758 (2006) 65–73. |
11 | S. Magazu, F. Migliardo, A.J. Ramirez-Cuesta, Kosmotrope character of maltose in water mixtures, J. Mol. Struct. 830 (2007) 167–170. |
12 | E.C. van Winden, D.J. Crommelin, Long term stability of freeze-dried, lyoprotected doxorubicin liposomes, Eur. J. Pharm. Biopharm. 43 (1997) 295–307. |
13 | W.F. Wolkers, H. Oldenhof, M. Alberda, F.A. Hoekstra, A Fourier transform infrared microspectroscopy study of sugar glasses: application to anhydrobiotic higher plant cells, Biochim. Biophys. Acta 1379 (1998) 83–96 |
14 | K. Kawai, T. Suzuki, Stabilizing effect of four types of disaccharide on the enzymatic activity of freeze-dried lactate dehydrogenase: step by step evaluation from freezing to storage, Pharm. Res. 24 (2007) 1883–1890. |
15 | D.K. Hincha, A.E. Oliver, J.H. Crowe, The effects of chloroplast lipids on the stability of liposomes during freezing and drying, Biochim. Biophys. Acta 1368 (1998) 150–160. |