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カテゴリー

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6小児用製剤
7抗体医薬
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「薬剤製造塾ブログ」の紹介

医薬品の有効成分の多くは未加工のままでは有効性と安全性を担保できる品質でないばかりでなく、一般的に使用に際しての利便性も悪い(扱いにくい)です。

医薬品開発における製剤研究の目的は、有効成分が医薬品として有効性と安全性を発揮できるよう品質を担保すると共に患者さんや医療従事者の皆さんが使用する際の利便性を高めるためです。

製剤研究は、プレフォーミュレーションを経て、製剤設計から製造方法・プロセスの開発、さらには治験薬製造、申請安定性試験用バッチの製造並びに工業化に向けての生産スケールへのスケールアップ・プロセスバリデーションなど多岐にわたっています。

尚、製剤設計は、医薬品製剤の剤形を選択し、製剤の処方、製造方法を設定する作業のことで、具体的にはプロトタイプの処方設計、処方最適化、市販候補製剤の決定などを指しています。

また、製造方法・プロセスの開発は、重要物質特性及び重要プロセスパラメータの特定、製造条件の最適化、パイロットスケールへのスケールアップなどを指します。

以上のような理由から、製剤研究は、医薬品開発から工業化(実用化)において極めて重要な役割を担っていると思います。

医薬品の有効成分は、使用目的によって特色を持たせるために種々の形態に加工されて医薬品として供給されます。医薬品の形態のことを「剤形」と呼び、剤形に加工することを「製剤化」、製剤化されたものを「製剤」と言います。そして、製剤化又は製剤加工のために活用する技術を「製剤技術」と呼びます。

このブログでは、そのような製剤技術のケーススタディ並びに次世代の製剤技術開発のヒントになるような記事を書いていきたいと思います。


CONTENTS

1. 医薬品開発における製剤研究・製剤開発の役割
2. 製剤開発のための基盤技術
3. Drug Delivery System (DDS) ― 徐放化・ターゲティング
4. バイオアベイラビリティ向上及び安定性改善のための製剤技術
5. 高齢者用製剤又は小児製剤のための製剤技術
6. 抗体医薬品又は核酸医薬品のための製剤技術
7. 革新的でユニークな剤形を有する製剤開発の変遷
8. 薬事規制とレギュラトリーサイエンス(RS)

「薬剤製造塾ブログ」管理人の自己紹介
Takaaki Nishioka

このブログの管理人、西岡孝章と申します。

趣味は、写真撮影(現在の愛機はSony α7 IV + Sony FE 24-105mm F4 G OSS lenz)と読書です。ゴルフとテニスは全く上達しません。大学に入学と同時に始めた登山は、体力不足のため冬眠中です。

2020年の暮れ、偶然にもワードプレス(WordPress)の存在を知り、今更かも知れませんが興味を抱きました。詳しく知るためには使ってみるしかないと思い立ち、人生で初めての「ブログ」を始めてみることにしました。

この「薬剤製造塾ブログ」を開設した動機ですが、私は大学時代の恩師や会社の上司から多くのことを学び、製剤研究技術者として育てて頂いたにも関わらず、部下・後輩を育てたという確信はありません。

先人の知識や技術のおかげで、私は製剤研究に従事することの楽しさと喜びを日々感じつつ、長らく仕事を満喫してきました。

いつ頃からか定かではありませんが、社会に対して恩返しのようなものをしたいと考え続けてきました。人生の晩年を迎え、その思いがさらに強くなってきました。

そこで、製薬企業に入社したばかりの新人が製剤技術について学ぶ際に、自らモチベーションを高め、興味をもって勉強するのに参考となるようなブログを発信したいと考えました(かなりニッチです!)。

もし大学の薬学部で薬剤学や製剤工学を学ぶ学生や就職活動中の方に医薬品の製剤研究に従事してみようかと興味をもってもらえたなら、そしてそんなブログを発信できるようになれたなら大変嬉しいです。

大学時代の恩師、朝比奈菊雄先生からは薬剤学・製剤工学や製剤技術の面白さをはじめ、実に多くのことを教わりました。私は、先生からの教えを、より良く生きるための指針としてきました。

それら教えの一つが、「Give and takeは、giveを先にしなさい」であったり、「他人に教えることは、自ら学ぶことと同じ」などです。このブログを始めるに際しても、先生の教えが、躊躇していた私を後押ししてくれたように思います。

朝比奈菊雄先生が東京薬科大学で教鞭をとられていた時に運営されていたのが「薬剤製造学教室」であり、私もその研究室出身です。このブログ名を「薬剤製造塾ブログ」と名付けたのは、恩師へのリスペクトからです。

このブログをいつまで続けることができるか分かりません。しかし、心身ともに健康で過ごせるかぎり続け、皆さん(このブログを読んで下さる読者がいるなら)と一緒に私も勉強を続けていきたいと思います。末長くよろしくお願いします。
(2021年1月30日記)

略歴

1981年3月、東京薬科大学薬学部薬学科卒業。薬剤師。同年4月にバイエル薬品(株)に入社以来、製剤研究/製剤開発に一貫して従事(1986~1987年: バイエルAG本社/ドイツ・レバークーゼンで製剤研究/製剤開発に従事)。製剤設計した主な市販品にはアダラート®CR錠(ニフェジピン徐放化製剤;特許登録;日本で販売)とCipro® XR Tablets(シプロフロキサシン持続性製剤;特許登録;米国で販売)がある。2003年9月末、製剤研究所閉鎖に伴い,バイエル薬品(株)を退社。

2003年10月、日本イーライ・リリー(株)に契約社員として入社し、製剤開発に従事(2005年7月に退社)。2005年8月、日本ベーリンガーインゲルハイム(NBI)に入社し、神戸医薬研究所で2014年12月末まで製剤開発に従事。製剤設計した主な市販品にはJENTADUETO® Tablets(リナグリプチン/メトホルミン配合剤;特許登録;米国で販売)がある。

2015年1月より製剤分析研究部/CMC申請グループでCTD(主にQOS)作成や申請関連業務等を担当。バイオ医薬品のCTD作成にも関心を持ち、OJTで学ぶ。

2017年7月に定年退職を迎えるが、再雇用で業務を継続。2020年4月に製剤開発グループに復帰させて頂き、リポソームの製造に有用なMicrofluidics technologyや凍結乾燥のラボワークの機会を得る。

2022年7月にNBIを退社し、スタートアップ企業のコンサルと余暇を楽しみつつ現在に至る。